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2018 年度 実施状況報告書

多発性嚢胞腎における嚢胞増悪の機序、および予後予測因子の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K09679
研究機関北海道大学

研究代表者

西尾 妙織  北海道大学, 大学病院, 講師 (90463736)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード多発性嚢胞腎 / バイオマーカー / 予後予測
研究実績の概要

本研究は多発性嚢胞腎の予後予測、および嚢胞増大に対する食事の影響を明らかにすることを明らかにすることを目的としている。多発性嚢胞腎の予後予測のためのコホート研究に関しては登録することができた255例の患者すべての遺伝子解析、患者背景や臨床検査データ、多発性嚢胞腎に関連するイベントについての情報、腎容積増大速度、腎機能低下速度に関して解析を進めている。また、バイオマーカーの解析に関しては可溶性プロレニンレセプター、d-ROMsテスト(Reactive Oxygen Metabolites:活性酸素代謝物テスト)、BAPテスト(Biological Antioxidant Potential evaluation:生体抗酸化能テスト)などのデータと遺伝子情報、腎容積増大速度、腎機能低下速度との関連の解析を行っているところである。最近になり、食事量や肥満(Body mass index; BMI)が多発性嚢胞腎の進行に影響しているという海外からの報告もあり、これに関しても検討を進めていく予定である。
多発性嚢胞腎モデルマウスに対する必須アミノ酸(BCAA)負荷に関しては、すでに必須アミノ酸投与が嚢胞増悪に関与しているか論文を報告しているが、さらに多発性嚢胞腎モデルマウスを用いて、アミノ酸トランスポーターの解析をすすめている。
Pkd1ヘテロマウスに対する高リン食負荷研究に関しては、Pkd1ヘテロマウスは通常はほとんど嚢胞ができないが高リン食負荷をすることで、嚢胞形成が促進されることを明らかにした。これは嚢胞形成機序解明につながると考えている。
これらの研究から多発性嚢胞腎の予後予測および、アミノ酸や高リン食、カロリー摂取など食事による増悪因子の結果を得られ、今後の診療に役立てると確信している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コホート研究については、統計解析を行っており、今後遺伝子、腎容積、腎容積増大速度、腎機能低下速度、性別などこれまで報告されている予後予測因子に加えて日本人においての予後予測因子を明らかにするなど多くの結果が得られることが期待される。
バイオマーカーについても、それぞれにデータの統計解析だけではなく、複数の因子を組み合わせた解析を進めていくという段階まで進んでおり、順調である。
多発性嚢胞腎モデルマウスに対する必須アミノ酸投与に関しては、必須アミノ酸投与が嚢胞を増悪する機序まで明らかにしたが、さらにそのトランスポーターの解析についても新たなモデルマウスの作製も終わり、順調にすすんでいる。
高リン食に関しては、長期観察が必要なモデルであったが、嚢胞形成促進というデータが得られたため、さらに解析をすすめる。
どの研究についてもおおむね計画通りに進行しており、データも順調に得られている。今年度もそれぞれの項目について、このまま解析をすすめ、学会発表、論文作成に向かっていく予定である。

今後の研究の推進方策

コホート研究については、日本人独自の多発性嚢胞腎の予後予測因子を明らかにし、海外から発表されている嚢胞腎の予後予測のためのPROPKD Scoreより簡便で特異度の高いScoreを作成できるように進めていく。このScoreにはバイオマーカーも織り交ぜていく方向で考えている。また、現在多発性嚢胞腎の進行を示すバイオカーカーとして信頼できるものとして汎用されているのは両総腎容積である。これ以外のバイオマーカーについての報告は多数あるが、実臨床で使用するには至っていない。今後様々な多発性嚢胞腎の治療薬の開発が進むことが予測され、治療が必要である進行の速い患者を知るためのバイオマーカーの確立は急務である。治療方針決定につながるようなバイオマーカーの開発の開発も目指す予定である。
必須アミノ酸が嚢胞腎に与える影響に関しては、アミノ酸トランスポーターと多発性嚢胞腎の原因遺伝子であるPkd1のダブルコンディショナルノックアウトマウスを作成し、表現型を得ている。今後はこのモデルマウスを用いて嚢胞形成の機序を明らかにすると同時に新たの嚢胞腎の増悪に影響するアミノ酸トランスポーターの解析を行っていく。さらにアミノ酸トランスポーターの阻害剤の検討も行い治療薬の開発の基礎となる情報が得られるようにすすめたい。
高リン食に関しては、表現型が得られたところであるため、今後病理学的解析やウエスタンブロッティングなどを行って、嚢胞増悪の分子生物学的機序について解析を行っていく。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] The presence of anti-neutrophil extracellular trap antibody in patients with microscopic polyangiitis.2019

    • 著者名/発表者名
      Hattanda F, Nakazawa D, Watanabe-Kusunoki K, Kusunoki Y, Shida H, Masuda S, Nishio S, Tomaru U, Atsumi T, Ishizu A.
    • 雑誌名

      Rheumatology (Oxford)

      巻: Mar 20 ページ: -

    • DOI

      10.1093/rheumatology/kez089.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Evaluating the Effect of Intravenous Acetaminophen in Multimodal Analgesia After Total Hip Arthroplasty: A Randomized Controlled Trial2019

    • 著者名/発表者名
      Takeda Y, Fukunishi S, Nishio S, Yoshiya S, Hashimoto K, Simura Y
    • 雑誌名

      J Arthroplasty.

      巻: Feb 25 ページ: -

    • DOI

      10.1016/j.arth.2019.02.033.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Initial experience with the use of tris-acryl gelatin microspheres for transcatheter arterial embolization for enlarged polycystic liver.2019

    • 著者名/発表者名
      Sakuhara Y, Nishio S, Hattanda F, Soyama T, Takahashi B, Abo D, Mimura H
    • 雑誌名

      Clin Exp Nephrol.

      巻: Feb 15 ページ: -

    • DOI

      doi: 10.1007/s10157-019-01714-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Tolvaptan for ADPKD; The latest clinical evidence and Japan's post-launch experience2018

    • 著者名/発表者名
      Nishio S
    • 学会等名
      ISN Frontier Meetings 2018
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Clinical research of ADPKD in JAPAN2018

    • 著者名/発表者名
      Nishio S
    • 学会等名
      The 2nd International Forum on Polycystic and Rare Kidney Disease
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 新しい治療への展望2018

    • 著者名/発表者名
      西尾妙織
    • 学会等名
      48回日本腎臓学会東部学術大会 シンポジウム
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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