研究課題
本研究は多発性嚢胞腎(ADPKD)の予後予測、および嚢胞増大に対する食事の影響を明らかにすることを明らかにすることを目的としている。多発性嚢胞腎の予後予測のためのコホート研究に関しては登録することができた255例の患者すべての遺伝子解析、患者背景や臨床検査データ、多発性嚢胞腎に関連するイベントについての情報、腎容積増大速度、腎機能低下速度に関しての情報収集が終了し、現在解析がすすんでおり、論文作成に向かっている。バイオマーカー、BMIなどの肥満などの要素についても遺伝子や腎機能、腎容積との関係を中心に解析がすすんでおり、結果のおおよそ出ている。多発性嚢胞腎モデルマウスに対する必須アミノ酸(BCAA)の負荷は、肝のう胞、腎嚢胞を増悪する事が明らかとなった。その機序は多発性嚢胞腎を増悪させる事がすでに報告されている、mTOR経路、MAPK経路の活性化が原因であり、嚢胞上皮細胞で明らかに細胞増殖が盛んとなっている。嚢胞上皮細胞のアミノ酸トランスポーターの発現の解析を行ったところ、これまで癌細胞で報告がある、L-type amino acid transporter 1;LAT1の発現が亢進していた。一方、嚢胞ではない正常尿細管においてはLAT1の発現は認められず、LAT2の発現が亢進していた。In vitroの研究でもpkd1ノックアウト細胞ではLAT1の発現が亢進し、コントロールの細胞ではLAT2の発現が亢進し、LAT1の発現はほとんど見られなかった。以上の結果から、ADPKDでは嚢胞上皮においてLAT1の発現が亢進することによりアミノ酸の取り込みが亢進され、細胞増殖が盛んとなり、嚢胞増悪を引き起こすことを明らかにした。この結果はKidney Internationalに報告した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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