研究課題/領域番号 |
17K09681
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
今泉 忠淳 弘前大学, 医学研究科, 教授 (90232602)
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研究分担者 |
島田 美智子 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (40463765)
田中 完 弘前大学, 教育学部, 教授 (50271820)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ISGs / TLR3 |
研究実績の概要 |
ヒトメサンギウム細胞および、ヒト糸球体内皮細胞を培養し、これらの細胞を用いて、自然免疫応答における interferon-inducible genes (ISGs) の意義についての検討を行った。自然免疫応答の活性化には、Toll-like receptor 3 (TLR3) のリガンドの人工二本鎖 RNA の poly IC と、TLR4 のリガンドの lipopolysaccharide (LPS) を用いた。mRNA やタンパク質の発現解析には、定量的RT-PCR 法、western blotting 法、ELISA 法などを用いた。また、遺伝子の機能の検索には、RNA 干渉法を用いた。その結果、ヒトメサンギウム細胞において、脱ユビキチン化酵素の一つである Cylindromatosis (CYLD) が、TLR3 シグナリング経路を抑制することを見出し、報告した。また、培養ヒトメサンギウム細胞において、時計遺伝子の一つである DEC1 が、TLR3 シグナリングにより誘導されるケモカインの CXCL10 や CCL5 の発現を調節していることを見出し、報告した。また、clarithromycin は慢性炎症を抑制することが注目されている抗生剤であるが、メサンギウム細胞において、TLR4 シグナリングによるケモカインの CCL2 の発現誘導が、clarithromycin により抑制されることを報告した。これらの知見は、腎臓における慢性炎症性疾患の病態の一部を明らかにしたものと言える。一方、培養ヒト糸球体血管内皮細胞にいて、メサンギウム細胞におけると同様に、TLR3 シグナリングの活性化により ISGs の発現が誘導されることを観察し、現在、投稿中である。今後は、その詳細について、検討を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養ヒトメサンギウム細胞における TLR3 シグナリングにおける ISGs に意義について、いくつかの新知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の検討に引き続き、培養ヒト糸球体血管内皮細胞および培養ヒトメサンギウム細胞を用いた研究を行う。個々のISGs タンパク質の発現や機能の探索を続けると同時に、ISGs タンパク質同士の相互作用の解析を進める。転写調節機構に加え、翻訳やタンパク質の分解といった posttranscriptional および posttranslational な調節機構の解析も行う。 それらの検討に基づき、メサンギウム細胞との共通性や細胞特異性を検討していく予定である。 また、免疫蛍光染色による、糸球体における ISGs の発現やそれらの局在についても検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
培養細胞の購入が予定していた回数より1回少なかったため。
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