本研究では、ポドサイトの剥離という、糸球体硬化には重要なステップが起きる機序 についてポドサイト特異的障害するモデル(NEP25)の糸球体障害機序について検討した。昨年度の研究の結果として、1. ポドサイト剥離にはポドサイト足突起消失が必須である、2. ポドサイト剥離は糸球体のどの部位か らでも起きうるが、進展すると尿細管極にその局在が移動する、3. 尿管結紮で糸球体濾過を停止すると、足突起消失は起きるが、剥離は全く起きない、4. 糸球体濾過量の増加により剥離は進行するが一定の局在は示さない。これに加えて、本年度は5. びまん性にポドサイトが障害を受けても、ポドサイト剥離は局所で塊をなして起きる、6.深部糸球体にポドサイト剥離が起きやすい、ということが分かった。以上からポドサイト病の発症起点のひとつである糸球体にろ過が非常に重要であり、背景には糸球体のろ過や血流などの生理学的特性とその乱れが関連していると考えられた。このポドサイトの剥離がどのような分子によって効果病変に至るかについては、ケモカインの発現を二相性に呈し、autocrine機序が働いている可能性が考えられる。
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