研究課題/領域番号 |
17K09692
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
高橋 直生 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (30377460)
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研究分担者 |
岩野 正之 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (20275324)
木村 秀樹 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 准教授 (20283187)
糟野 健司 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (60455243)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 尿細管間質性腎炎 / 尿細管性アシドーシス / ファンコニー症候群 / 形質細胞 / IgM / 腎病理 |
研究実績の概要 |
昨年度までの検討で、Tubulointerstitial nephritis with IgM positive plasma cells (IgMPC-TIN) の診断頻度が当大学の0.7%と全国平均の0.06%に、10倍以上の乖離があることが判明した。すなわち、腎生検を実施し、ルーチンの蛍光抗体法によるIgM染色を行っても本疾患は見逃されているか、あるいは原因不明の尿細管間質性腎炎と診断されている可能性が高い。 そこで、本疾患の診断を確実に行うために、感度・特異度に優れた「IgMPC-TINの診断基準」の作成が必要である。診断基準の作成にあたって、これまで以上に多くの症例の集積が必要であり、今年度はこれまでの13例に加えて、20以上の機関に連絡をとり共同研究を開始した。 各共同研究機関での倫理審査委員会の承認を待ってパラフィン固定の未染色標本と患者の臨床情報の提供が行われるため、現在すべての共同研究機関における倫理審査委員会の承認を待っている状況である。新たな症例の追加は30例を予定しており、すでに10数例のサンプルが当方に到着し、順次染色を開始し、興味深い成果が得られはじめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例の集積に力を入れているが、提供する共同研究機関における倫理審査委員会の承認が必要な状態で、倫理審査委員会の承認に時間を要している。しかし現在の臨床研究倫理からすると、各共同研究期間の倫理審査委員会による承認は必須であり、やむを得ない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
サンプルの提供機関の倫理審査委員会の承認を待って、サンプルが到着次第、解析を行なう予定である。提供されたホルマリン固定パラフィン未染標本を免疫染色し、顕微鏡400倍1視野中に何個以上のIgM陽性形質細胞が存在すれば診断できるか、あるいは、全形質細胞中に占めるIgM陽性形質細胞の割合が何%以上であれば診断できるか、さらには、血清IgM値がどれくらい高ければ診断できるかを、コントロールTIN症例の各パラメーターと比較し、ROC解析を行い、感度・特異度が最も優れた個々のカットオフ値を算定する。ROC解析では個々のカットオフ値しか決まらないため、決定木による予測を用いることで、確定診断のため必要な組織・臨床パラメーターの順番も決定することも可能になる。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究機関からの標本の到着を待っているため、抗体・染色キットなどの試薬代が予想より少ない状態になり、次年度使用額が生じた。次年度は、多くの標本が到着する予定であり、それらの解析のための試薬・抗体・染色キットなどの消耗品の出費が増える予定である。
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