研究課題
平成30年度までに大量タンパク尿を呈し、慢性進行性の腎臓障害をきたすアドリアマイシン腎症ラットモデルの作成が出来た。よって、続いて同モデルに対して腎臓内レニン-アンジオテンシン系(RAS)抑制薬であるオルメサルタンと、腎臓内RAS抑制効果を認めない降圧剤であるヒドララジンの薬剤介入を行い、コントロール群(C群)、アドリアマイシン腎症群(A群)、A群にオルメサルタンを投与した群(AO群)、A群にヒドララジンを投与した群(AH群)で、群間の比較と、活動期(暗期)と休眠期(明期)の比較を行い、以下の結果を得た。(1) C群に比較しA群では、高血圧、尿タンパク増加、腎臓内アンジオテンシノーゲン(AGT)(RASの基質)、腎臓内アンジオテンシンII(AngII)(RASのエフェクター)や尿中AGT(腎臓内RAS活性のサロゲートマーカー)の有意な増加を認めた。A群に対し、AO群、AH群では、血圧は同程度に低下したが、尿タンパクや腎臓内RAS活性は、AO群のみで有意に改善した。(2) 日内変動は、C群では認めないが、A群では尿タンパクと尿中AGTは休眠期に比較し活動期で有意に大きく増加し日内変動の存在を示したが、AO群では日内変動の傾向は残るものの有意差を認めなくなったが、AH群ではA群と同様の日内変動を示した。in vivo imagingを用いた糸球体濾過圧の指標である輸入細動脈/輸出細動脈比は、群間で同様の変動を認めた。以上から、腎臓障害は、血圧非依存性に腎臓内RAS活性により生じるが、日内変動による糸球体高血圧がこれに関与する可能性を示唆する結果を得た。
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