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2018 年度 実施状況報告書

間葉系幹細胞に着目した腎間質線維化の機序解明と新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K09696
研究機関名古屋大学

研究代表者

齋藤 尚二  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00635609)

研究分担者 丸山 彰一  名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362253)
榎本 篤  名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (20432255)
坪井 直毅  藤田医科大学, 医学部, 准教授 (50566958)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード線維化 / 間葉系幹細胞
研究実績の概要

臓器線維化は全身臓器において慢性的な組織障害に付随してくる共通した病態であり、その重症度が予後を規定することが報告されている。臓器線維化とは創 傷治癒における一つの転帰であり、あらゆる臓器の慢性疾患や老化による機能不全状態において普遍的に認められる組織変化である。腎臓においてはステージの 進行した慢性腎臓病における腎繊維化がそれに当たる。 我々は線維化に深く関与する筋線維芽細胞のソースの一つとして間葉系幹細胞(Mesenchymal stem/stromal cell; 以下MSC)の重要性を見出し、最近MSCに特異 的なマーカーとしてMeflin(特願2015-153712)を同定した。MSCがfibroblastやmyofibroblastへ分化するとMeflinの発現が低下あるいは消失する。本研究ではMeflinと腎線維化の関係に着目し、腎線維化におけるMeflinとMSCの詳細な細胞系譜解析を行い、線維化疾患の病因・病態解明を行い、新規治療の開発を目指している。正常腎あるいは線維化した腎臓におけるMeflinの発現量と局在を検討した後に各種腎線維化モデルを惹起し、経時的に腎組織を採取しMeflinの発現量や局在を検討した。またMeflinノックアウトマウスを作成し、このマウスにおいても各種腎疾患モデルを作成し、予後や線維化に関わる分子群の検討を行っている。同様にこのMeflinノックアウトマウスの腎臓より単離してきた線維芽細胞を用いた検討も行っている。
Meflinの発現をより明確に確認するためにMeflin発現レポーターマウスを作成し、Meflin陽性細胞を特異的にdeletionすることのできる遺伝子改変マウスも作成したため、今後はこれらのマウスを用いた実験系もすすめていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

正常腎あるいは線維化した腎臓におけるMeflinの発現量と局在を検討している。尿管結紮モデル(UUO;Unilateral Ureteral Obstruction)、アデニン腎症モデルに加え、抗糸球体基底膜腎炎モデルなどの各種疾患モデルを惹起した後に経時的に腎組織を採取し、間質や糸球体周囲の線維化の進展具合をReal time PCR法にてMeflinの発現量を、また組織学的にはin situ hybridization法を用いてMeflinのmRNAの発現分布を検討した。またMeflinノックアウトマウスを用いて上記と同様な種々の腎疾患マウスを作成し、それぞれ経時的に組織の線維化の進展具合を検討し、野生型と比較している。
各種腎臓由来の細胞株や初代培養細胞を用いたin vitroの系でもMeflinの発現を検討しているが、これらの系において低酸素やTGFbetaなどを用いて線維化を誘導した場合のMeflinの発現量の変化を確認している。更にこれらの細胞に低酸素やTGFbeta刺激を用いて線維化を誘導し、細胞形態の変化、Meflinの発現量、線維化に関係するマーカーの変化も検討している。これらの実験に加え、作成したMeflinノックアウトマウスの腎臓より線維芽細胞を分離し、同じく野生型マウスの腎臓より分離した線維芽細胞との形態や各種線維化にかかわるマーカーの分布の違いを比較検討している。
これまでに、Meflin陽性細胞が特異的に光るマウスのほかにMeflin陽性細胞を選択的に消失させるマウスの作成にも成功している。
当初に計画していた実験計画通りよりやや遅れているが、興味深い知見が得られており、本年度はより詳細な病態への関与の解明をすすめ、治療法の開発へとつなげたい

今後の研究の推進方策

引き続きMeflinノックアウトマウスと野生型のマウスに作成した各種腎疾患モデルの検体を丹念に比較検討していく。経時的な経過や予後、また局在的にMeflinの発現と線維化の進展との関連を探索する。組織学的な方法としては今までと同様にin situ hybridization法を用いる。またこれらのマウスの腎臓より組織を採取し、Real time PCR 法やWestern blot法を用いてmRNAや蛋白の発現量を確認する。
またMeflinノックアウトマウスより単離した線維化芽細胞を用いて、野生型マウスより単離した線維芽細胞との比較検討もすすめていく。両細胞群における主に線維化にかかわる分子の検討をしていく。その他にも腎臓に関連する細胞株にsiRNAを用いたMeflinのノックダウンやウイルスを用いたMeflinの強制発現をおこし、Meflinと線維化の関連を追及していく。
新たに作成したMeflinレポーターマウスを用いてMeflinの発現と局在をより明らかにしていく。このマウスを用いてより詳細なMeflinの局在が視認できるので、まずはこのマウスの発生に伴う経時的なMeflinの局在の移動を確認する。その後にこのMeflinレポーターマウスに各種腎疾患モデルを惹起して腎線 維化を誘導し、Meflinの発現との関連性を探索していく。
更にはMeflin陽性細胞を選択的にdeletionすることのできるマウスを開発したため、経時的にまた各種腎疾患モデルマウスにおいてMeflin陽性細胞を選択的に消失させ、線維化におけるMeflin陽性細胞の意義を検討していく。

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公開日: 2019-12-27  

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