研究課題
臓器線維化は全身臓器において慢性的な組織障害に付随してくる共通した病態であり、その重症度が予後を規定することが報告されている。臓器線維化とは創 傷治癒における一つの転帰であり、あらゆる臓器の慢性疾患や老化による機能不全状態において普遍的に認められる組織変化である。腎臓においてはステージの 進行した慢性腎臓病における腎繊維化がそれに当たる。 我々は線維化に深く関与する筋線維芽細胞のソースの一つとして間葉系幹細胞(Mesenchymal stem/stromal cell; 以下MSC)の重要性を見出し、最近MSCに特異 的なマーカーとしてMeflin(特願2015-153712)を同定した。MSCがfibroblastや myofibroblastへ分化するとMeflinの発現が低下あるいは消失する。本研究ではMeflinと腎線維化の関係に着目し、腎線維化におけるMeflinとMSCの詳細な細胞系譜解析を行い、線維化疾患の病因・病態解明を行い、新規治療の開発を目指している。正常腎あるいは線維化した腎臓におけるMeflinの局在を検討し、腎間質や糸球体門部や血管の一部に分布することを明らかにした。また各種腎線維化モデルを惹起すると、経時的にMeflinの発現量が上がっていくことが分かった。腎臓由来の細胞株や初代培養細胞を用いたin vitroの系ではMeflinが線維化を抑制する可能性が示された。Meflinの発現をより明確に確認するためにMeflin発現レポーターマウスならびにMeflin陽性細胞を特異的にdeletionすることのできる遺伝子改変マウスも作成したため、これらのマウスを解析している。
すべて 2019 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Circulation research
巻: 125 ページ: 414-430
10.1161/CIRCRESAHA.119.314806
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/kidney/research/regeneration.html#fibrosis