研究課題
腎臓におけるナトリウム利尿ペプチドのアルドステロン拮抗作用を伝達する下流分子を同定し、その機能的意義をノックアウトマウスを用いて検討した。ナトリウム利尿ペプチド受容体(GC-A)ノックアウト(KO)マウスに片腎摘、高食塩、アルドステロン負荷を行うと、糸球体内の複数の遺伝子発現が発現亢進することを同定し、その中でもmatrix metalloproteinase-10 (MMP-10) に着目した。MMP-10 KOマウスを用いて、アルドステロン負荷GC-A KOマウスにおけるMMP-10の意義を検討した。アルドステロン負荷GC-A/MMP-10ダブルKOマウスでは、アルドステロン負荷GC-A KOマウスと比較して、血圧上昇が軽減し、アルブミン尿が低下した。組織学的変化では、糸球体腫大やメサンギウム拡大が減少していた。また、WT1染色でポドサイト数を検討するとダブルKOマウスでポドサイト数が維持されており、電子顕微鏡でfoot effacementの軽減を認めた。MMP-10が欠損することで腎障害が軽減することを示した。また、培養ヒトポドサイトにTNF-αやTGF-βを加えると、MMP-10 発現が上昇した。このことから炎症刺激によりポドサイトにおいてMMP-10発現が増加することを示した。また、培養マクロファージにおいて、TNF-αとCTGFの共刺激を行うとMMP-10発現が著明に増加し、マクロファージからも分泌されている可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
MMP-10ノックアウトマウスのデータが解析できている。
アルドステロン負荷ポドサイト特異的GC-A KOマウス/全身性MMP-10 KOマウスの解析を行う。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
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http://www.kidney.kuhp.kyoto-u.ac.jp/