研究実績の概要 |
ナトリウム利尿ペプチド系/グアニリルシクラーゼA(GC-A)が、アルドステロンに拮抗する機序としてMatrix metalloproteinase-10 (MMP-10)に着目し、全身性GC-Aノックアウトマウス/MMP-10ノックアウトマウスに対して、片腎摘、高食塩、アルドステロン負荷(ALDO負荷)を行い腎障害についての検討を行った。これまで、ALDO負荷GC-A/MMP-10ダブルノックアウトマウスは、ALDO負荷GC-Aノックアウトマウスに比べて、血圧上昇の軽減、アルブミン尿の軽減、ポドサイト傷害の軽減を示してきた。ALDO負荷ポドサイト特異的GC-A/MMP-10ダブルノックアウトマウスにおいても、アルブミン尿、ポドサイト傷害軽減が認められた。 最終年度の検討として、MMP-10の局在を検討するため、nephrin, CD140b, CD31と共染色を行い、CD31との共陽性を認めることから血管内皮細胞に主に発現していると考えた。培養ヒト臍帯静脈内皮細胞HUVECにsiGC-Aをトランスフェクションし、GC-Aをノックダウンすると、MMP-10発現が上昇することを確認した。また、HUVECにTGF-β1刺激を行うとMMP-10発現が上昇し、この状態でANPを添加するとMMP-10発現の低下が認められた。 さらに、MMP-10の蛋白分解作用に着目し、ポドサイトで発現がみられるnephrinを分解するかについて検討を行った。活性化させたMMMP-10と全長のnephrin蛋白を混合し、16時間37度処理を行うと、nephrin蛋白は分解されており、C端のnephrin蛋白も同様に活性化MMP-10により分解された。
|