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2018 年度 実施状況報告書

急性腎障害におけるアルギナーゼ2の役割とその制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K09701
研究機関九州大学

研究代表者

鳥巣 久美子  九州大学, 医学研究院, 准教授 (20448434)

研究分担者 鶴屋 和彦  奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20372740)
升谷 耕介  福岡大学, 医学部, 准教授 (30419593)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードアルギナーゼ2 / 虚血再灌流 / ニトロ化ストレス / 近位尿細管
研究実績の概要

アルギナーゼは一酸化窒素合成酵素(NOS)の基質であるL-アルギニンを分解する酵素である。アルギナーゼ2(Arg2)は心血管疾患において病的に活性化し、病態進展にかかわるが、発現が最も高い腎臓での重要性はわかっていない。H29年度にはヒト尿細管細胞HK-2を用いて虚血再酸素化におけるArg2の重要性を明らかにした。H30年度は主にArg2ノックアウトマウス(Arg2KO)を用いて、腎虚血再灌流モデルを作成し解析した。マウスの腎臓に虚血再灌流を起こすと、Arg2蛋白は虚血で減少し、再灌流で有意に増加した。Arg2 mRNAも再灌流後に増加する傾向だった。Arg2免疫染色を行ったところ、特に腎臓の皮髄境界に当たる近位尿細管にArg2の発現が増加しており、マクロファージにも一部発現を認め、糸球体にはほとんど認めなかった。Arg2KOに虚血再灌流障害を起こしたところ、野生型と比較して有意にBUN, Crの上昇が軽減した。組織障害もArg2KOで軽減していた。これに一致して腎臓の3-ニトロチロシンの蓄積はArg2KOで減少し、腎間質のTUNEL陽性細胞もArg2KOで減少していた。糸球体におけるCD31陽性の血管内皮細胞数や間質のF4/80陽性マクロファージの数はArg2KOにおいて野生型とほぼ同等であった。Arg2KOにおける、腎虚血再灌流障害の軽減は主に近位尿細管細胞のArg2の欠損によるものであり、尿細管におけるNOS uncouplingの軽減が寄与しているのではないかと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト尿細管細胞とアルギナーゼ2ノックアウトマウスを用いて、アルギナーゼ2が尿細管の虚血再灌流障害の増悪因子として働くことを証明し、現在論文投稿中であるため。

今後の研究の推進方策

今回はアルギナーゼ2の機能を尿細管細胞の焦点を置いて解析を進めたが、今後マクロファージでの炎症制御の観点からの解析を行いたい。腎臓では間質の線維化のモデルの解析、また腎臓以外の臓器で腸炎モデルでの解析も予定している。また虚血再灌流障害は急性腎障害であったが、アルギナーゼの分解産物であるオルニチンは線維化に重要な因子であるため、慢性腎障害、線維化モデルを解析する予定である。

次年度使用額が生じた理由

2019年度にマウスの腎組織の大規模な解析処理を行うにあたって予算がかかるため次年度に繰り越す。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] アルギナーゼ2はニトロ化ストレスを介した腎虚血再灌流障害を誘導する2019

    • 著者名/発表者名
      原雅俊、鳥巣久美子、川井康弘、鶴屋和彦、中野敏昭、北園孝成
    • 学会等名
      第62回日本腎臓学会学術集会
  • [学会発表] Arginase 2 mediates ischemia-reperfusion injury in the kidney through regulation of nitrosative stress2018

    • 著者名/発表者名
      Hara M, Torisu K, Kawai Y, Nakano, T, Tsuruya K, Kitazono T
    • 学会等名
      American Society of Nephrology, Kidney Week 2018
    • 国際学会
  • [備考] 九州大学大学院医学研究院 病態機能内科学 腎臓研究室

    • URL

      http://www.kcu.med.kyushu-u.ac.jp/

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公開日: 2021-01-27  

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