研究課題/領域番号 |
17K09708
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
森下 義幸 自治医科大学, 医学部, 教授 (30570494)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 老化腎障害 / 腎硬化症 / マイクロRNA / バイオマーカー / 遺伝子治療 |
研究実績の概要 |
本研究は老化腎障害を調節するマイクロRNAを老化促進(SAMP1)マウス腎臓でマイクロアレイ法による網羅的解析で同定する。その後、老化促進(SAMP1)マウスでマイクロRNAのinhibitorまたはmimicの効果を生体内で解析し、老化腎障害の新規遺伝子治療法を開発する。また同定したマイクロRNA発現を老化腎障害患者の血清で測定し、老化腎障害のない高齢者および若年者と比較し、老化腎障害の新規バイオマーカーとなるマイクロRNAを同定することを目的としている。本年度の研究実績としては、正常な成長過程のあと、早期から老化徴候が出現し、その後急速に老化が進展する特徴を持つ老化腎障害モデルマウス(SAMP1マウス:8週齢と50週齢)、正常老化を示すコントロールマウス(SAMRマウス:8週齢と50週齢)の腎でマイクロRNAの発現変化をマイクロアレイ法で網羅的に解析し、real time q-PCR法で確認した。その結果、①SAMP1マウスおよびSAMRマウスの両群で老化に伴って上昇するマイクロRNA(5種類)、②SAMRマウスのみで老化により上昇するマイクロRNA(3種類)、③SAMP1マウスのみで老化により上昇するマイクロRNA(1種類)、④SAMP1マウス、SAMRマウス両群で老化による影響を受けないが恒常的にSAMP1マウスで上昇しているマイクロRNA(1種類)を同定した。これらのマイクロRNAの血清での発現変化を高齢(65歳以上)で腎機能正常者(eGFR>60ml/min/1.73m2)と腎機能低下者(eGFR< 60ml/min/1.73m2)で比較検討したところ、1種類のマイクロRNA(miRNA-XX)が高齢腎機能低下患者で有意に低下していた。さらにmiRNA-XXをヒト尿細管細胞に強制発現させ線維化を誘導するTGF-β1で刺激したところ、尿細管細胞の線維化が有意に抑制された。これらの結果からmiRNA-XXは老化腎障害のバイオマーカおよび治療薬となる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
老化腎障害のバイオマーカ候補となるマイクロRNAを1種類同定できた。今年度同定したマイクロRNAの腎での効果やその機序についてin vitor, in vivoでさらに検討を重ねる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画として、選別したマイクロRNAの老化腎障害における機能解析予測を実施する。さらに選別したマイクロRNAの老化腎障害での経時的解析を実施し、マイクロRNAのinhibitorまたはmimic投与により老化腎障害に対するマイクロRNA を標的とした新規遺伝子治療法を開発する。
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