研究課題/領域番号 |
17K09711
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
合田 朋仁 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20365604)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | TNF受容体 / 慢性腎臓病 / 糖尿病性腎臓病 / 末期腎不全 / 血液透析 / IgA腎症 / プログラヌリン |
研究実績の概要 |
223名のIgA腎症患者において、血中TNF受容体(TNFRs:TNFR1、TNFR2)濃度と各種臨床所見との関連性を検討した。多変量解析の結果、糸球体濾過量低下は高齢、高尿酸血症のほか血中TNF受容体(TNFRs:TNFR1、TNFR2)濃度高値と有意な関連性を認めた。また、扁桃摘出術+ステロイドパルス治療前後で採血の残っていた77名において検討したところ、血中TNFRs濃度は扁桃摘出後には変化は認められなかった。しかし、ステロイドパルス治療後、血中TNFR2濃度は有意に低下した。一方、血中TNFR1濃度には変化は認められなかった。 319名の透析患者を前向きに53ヵ月間followしたところ、88名が何らかの原因で死亡した。試験登録時の血中TNFR濃度は、年齢、心血管イベントの既往歴の有無、血圧などで補正しても、予後予測に有用であった。一方、血中TNFαおよびPGRN濃度は予測マーカーにはならなかった。 また、IgA腎症や末期腎不全など腎機能に関わらず、血中TNFR1は血中TNFR2と非常に強い相関が認められた。 よって血中TNFR濃度の測定は、糖尿病性腎臓病患者の予後予測に有用であるのみならず、末期腎不全患者の予後予測にも有用であることが示唆された。また、IgA腎症においては、血中TNFR2濃度のみがステロイド治療により低下することより、病態進展に炎症が関与している可能性が示唆された。 現在、PGRNノックアウトマウスの自然経過を観察しているが、予備実験では野生型とノックアウトマウス間には、蛋白尿や体重に関しては、両者に明らかな違いは認められなかった。今後、N数を増やして再現性を確認する。また、これらのマウスに脂肪負荷あるいは糖尿病を惹起させた場合の形質を観察予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
臨床研究に関しては順調に進展しており、論文投稿がなされ、既に受理されている。
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今後の研究の推進方策 |
PGRNノックアウトマウスを高脂肪食負荷あるいはストレプトゾトシンで各々、肥満、糖尿病を惹起した場合における自然経過を観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた試薬を購入する必要がなくなったため
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