研究課題
プログラヌリン(PGRN)ノックアウト(KO)マウスとそのコントロール(WT)マウスに対して高脂肪食による負荷を行い、形質に違いがでるか検討を行った。通常食下では、KOとWTマウスの間には、体重、アルブミン尿など形質の差は認められなかった。一方、高脂肪食下では、KOマウスではWTマウスと比較して、体重は減少傾向にあったが、アルブミン尿は増加した。腎組織上は、WTマウスでは尿細管・間質を中心に空胞化が顕著に認められたが、KOマウスでは、空胞化は著しく減少していた。空胞化を示す部位は脂肪染色では陰性であり、リン脂質によるものが考えられた。KOマウスではWTマウスと比較して、組織的には改善を認めていたが、アルブミン尿が増加していた理由としては、KOマウスではメガリンの尿細管での発現が低下していることに起因している可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
組織所見とアルブミン尿の所見は、相反するものであるも、その理由についても一部説明可能なデータが確認されている。
WTとKOマウスの腎組織において、炎症マーカーであるTNF、MCP-1などの発現に差があるか、リアルタイムPCRや免疫染色を行い検討する。また、尿細管細胞をTNFで刺激した際におけるプログラヌリン、メガリンなどの発現に影響を及ぼすか検討する。さらには、プログラヌリンをノックダウンした場合におけるメガリンの発現についても検討する。
学内研究費で充足可能であったため、予定していた試薬を購入する必要がなくなった。今年度の研究をすすめるため、メガリン及びMCP-1、TNFαなどの抗体を購入したり、細胞実験で使用するノックダウン用の試薬及びTNFα蛋白も購入する。さらに、腎組織あるいは尿細管細胞での炎症状況確認のためリアルタイムPCR用のプライマーも購入する。
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Sci Rep
巻: 8 ページ: 15302
10.1038/s41598-018-33590-w