研究課題
慢性腎臓病(CKD)の本質的な病態は、腎尿細管機能・間質部の障害による水・電解質、代謝異常、貧血などの生体の恒常性維持の慢性的な破綻が、全身的な臓器障害、特に循環・血管系の動脈硬化病変、石灰化などを引き起こし、心腎連関などと総称される、全体的な病態像を形成すると考えられている。最近、CKDの発症・進展・重症化には、種々の程度の頻回な腎障害(AKI: acute kidney injuryを含む)が集積することにより生じうることが注目されている。それは、特定の原因疾患によらず、CKDが発症もしくは増悪する可能性を示唆し、特に高齢化社会では末期腎不全・透析の患者が増加する結果となる。研究者らは従来からリン制御因子で、かつ抗加齢、抗線維化などの生理活性を持つKlotho蛋白に注目し、CKDの病態生理に大きく関与するとの仮説を立ててきた。実験モデルとして、同蛋白の低発現マウスで、頻回・低侵襲の障害でCKDを発症・進展するモデルを開発した。実際には、Klotho発現が半減した(haploinsufficiency)(kl-/+)マウスで、通常の虚血再灌流モデルとされる腎動脈clump手技で、虚血の短時間処置を週1回、3週間継続することで、野生型と比較して明らかに重症化した。さらに、リンの負荷が腎障害とFGF23の局所発現を誘導することが判明、リンによる直接的なCKD進展を起こす可能性を指摘した。また、Klothoの低発現は顕著に組織線維化を誘導、腎の線維化過程で重要な意義を持ち、これらはいわゆる老化とCKDの関連をさらに強調し、線維化をtargetとした治療介入の必要性を示唆し、今後の創薬のkey pointとなると考えられた。
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