研究課題/領域番号 |
17K09716
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
阿部 雅紀 日本大学, 医学部, 教授 (70459890)
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研究分担者 |
松本 宜明 日本大学, 薬学部, 教授 (10199896)
福田 昇 日本大学, 総合科学研究所, 教授 (40267050)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 糖尿病腎症 / TGF-β1 / PIポリアミド / ポドサイト / 間質線維化 |
研究実績の概要 |
我々は糖尿病腎症の進展におけるTGF-β1の関与とTGF-β1に対するPIポリアミドの糖尿病性腎症での組織学的変化への効果を検討した。WKYラットのメサンジウム細胞を高糖培地(25 mM)で経時的に培養しTGF-β1発現量をリアルタイムPCRを用いて評価した。8週齢のWistarラットにStreptozotocin (STZ 60mg/Kg体重)を頚静脈的に投与し1型糖尿病ラットを作製した。コントロール群とSTZ群に分け3ヶ月飼育・追跡した。糸球体ポドサイトで糸球体内皮細胞の間葉への組織化の指標であるmicro RNA21,23aの比較を行った。さらにSTZラットに対しPIポリアミドを腹腔内投与し変化を観察し、FITCラベリングしたPIポリアミドを用いて腹腔内投与におけるPIポリアミドの薬物動態の検証も行った。高糖負荷6h後の細胞にて優位にTGF-β1発現が増加した。STZラット群はコントロール群に対して1ヶ月時点で尿蛋白・尿中アルブミンの増加を認めた。また腎臓組織のmicro RNA21,23aもSTZ群で増加を認めた。TGF-β1に対するPIポリアミド投与1ヶ月経過にて蛋白尿の減少を認めたが3ヶ月では有意な抑制効果は認めなかった。PIポリアミド投与3ヶ月の腎臓組織のmicroRNA 21,23aは抑制された。電子顕微鏡にてSTZ群に比べPIポリアミド3ヶ月群の方でポドサイト障害が軽度であった。PIポリアミドの腹腔内投与の薬物動態検索したところ3日目に核内移行ピークとなり7日目にPIポリアミドが核内から排泄されていることが確認された。糖尿病腎症の進展、間質線維化、ポドサイトを含めた糸球体傷害にTGF-β1が関与し、TGF-β1に対するPIポリアミドは抑制効果を示したと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究予定はIn vitro実験として培養ラットメサンジウム細胞の高糖培養でのTGF-β1上昇を確認し、PIポリアミドGB1203が効果的に抑制する事を確認できた。また糸球体内皮細胞の間葉への組織化の指標であるmicroRNA 21,23aはGB1203で抑制される事を確認できた。In vivo実験としてSTZ糖尿病ラット腎障害に対するTGF-β1 PI ポリアミドの効果を尿中TGF-β1の測定、蛋白尿を測定にて、尿蛋白が出現した時点で、腎臓を摘出しEMT、 EndMTの評価を組織学的に行宇事が出来た。さらに糸球体内皮細胞とポドサイトクロストークの破綻に対しGB1203の効果を評価できた。
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今後の研究の推進方策 |
PIポリアミドGB1203のSTZラット糖尿病腎症へのoff targeting効果評価法、腎髄質のマイクロRNAを行う予定。PIポリアミドにoff targetingが無いことが確認されば、臨床開発のため、ヒトTGF-β1 PIポリアミド (GB1101)の糖尿病性腎症への効果の確認の為、ヒトとゲノム構造に相同性のある霊長類コモンマーモセットにSTZで糖尿病モデルを作成する。さらに薬学部にてPIポリアミドを脂溶製剤化にて除放化し、筋肉注射での組織へのデリバリーと糖尿病腎症への効果を確認する。
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