研究課題
糖尿病性腎症の病態にTGF-β1が腎臓の線維化を促進することが知られている。本研究では、TGF-β1遺伝子のプロモーターであるUSF1結合領域に結合しTGF-β1遺伝子の発現を抑制するUSF1 PIポリアミドを用いて、糖尿病性腎症の抑制効果を検討した。in vitroの培養メサンギウム細胞(MCs)の実験では、25mMの高糖刺激によりTGF-β1のプロモーター活性の増加とmRNA発現亢進を認めた。まず、4種類のUSF1 PIポリアミドの抑制効果を検討しPIポリアミド3でプロモーター活性及びmRNAの抑制効果を認めた。高糖刺激によりTGF-β1蛋白発現は有意に上昇し、10-10M PIポリアミド3投与で有意に抑制した。また高糖刺激でOsteopontinは有意に増加し、PIポリアミド3は有意に抑制した。この結果から、高糖刺激によるMCsの合成型形質転換にUSF1が関わっていることが確認された。MCsにおいて、高糖刺激24時間後では核内におけるUSF1の蛍光免疫染色が増強し転写を促進させていることが示唆された。in vivoの実験では、STZ糖尿病ラットの病態に対するUSF1 PIポリアミドの薬剤効果を検討した。糖尿病ラットに対して1mg/kgBW/週2回のUSF1 PIポリアミドの腹腔内投与を行った。その結果、16週後の尿中アルブミン排泄量は有意に低下した。びまん性病変や間質線維化が認められ、USF1 PIポリアミド投与によりGIS、TISが有意に低下した。免疫染色においてTGF-β1は糸球体や近位尿細管に局在し、Western blot法で腎組織内のTGF-β1発現はUSF1 PIポリアミド投与により改善した。以上の結果より、USF1 PIポリアミド3は将来、糖尿病性腎症の治療薬となりうる事が示唆された。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 6件、 招待講演 6件) 産業財産権 (1件)
Molecules
巻: Feb 20;25(4) ページ: pii: E950
10.3390/molecules25040950
Sci Rep.
巻: Mar 8;9(1) ページ: 3967
10.1038/s41598-019-40692-6.
巻: Mar 1;9(1) ページ: 3320
10.1038/s41598-019-39933-5.
Diabetes Technol Ther.
巻: Dec;21(12) ページ: 713-720
10.1089/dia.2019.0212.
J Diabetes Sci Technol.
巻: 13(2) ページ: 413-414
10.1177/1932296818818429
Molecules.
巻: Sep 1;24(17) ページ: pii: E3178.
10.3390/molecules24173178