多発性嚢胞腎患者の多くはpolycystin 変異による線毛シグナル異常で発症する。一部の症例では細胞形態と増殖とを制御するmTOR経路の活性亢進が関与するが、その病態機序には不明な点が多い。本研究では独自に作成した、尿細管上皮のmTORC1亢進に基づき誘導される多発性嚢胞腎モデルマウス(遺伝型Tsc1ff:Cd79a-Cre, モデル名Cd-79a Tsc1KO)を用いて、嚢胞形成に関わる細胞機能(増殖、アポトーシス、極性維持)とシグナル伝達を解析した。発達遠位ネフロンにおけるmTORC1亢進は、生後の尿細管腔狭小化を促す平面内極性制御を障害して、嚢胞形成を促すことが示唆された。
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