研究課題
CKD患者の腸内フローラは悪化し、尿毒症物質が増加することでさらなる腎機能低下が生じる。申請者はこれまでに腎糸球体内インスリンシグナル異常がCKD進展・増悪に重要であることを示している。本研究では今まで明らかにされてこなかったプレバイオティクスによる腸内フローラ改善がもたらすインスリン受容体基質(IRS)1を中心とした糸球体内インスリンシグナルへの影響と腎保護効果を明らかにする。本年度は腎不全モデルマウスにおける腸内フローラ検索を行った。腎不全モデルマウスは5/6腎摘出モデルにより作成した(sham 7匹、5/6腎摘出 6匹)。24時間尿中アルブミンはsham 13.9±2.3μg、5/6腎摘出 20.4±5.3μgであった。このことにより腎摘出による腎障害が生じていることが確認された。腎障害誘発後1か月間飼育し、便を回収した。腸内フローラから抽出したDNAを増幅させて次世代シークエンサーで配列を決定し、データベース上で腸内菌の所属を網羅的に解析する、いわゆるパイロシークエンス法を行った。その結果、Actinobacteria(sham 3.81%、5/6腎摘出 4.82%)、Bacteroidetes(sham 23.81%、5/6腎摘出 34.58%)、Firmicutes(sham 70.24%、5/6腎摘出 58.8%)、Proteobacteria(sham 0.63%、5/6腎摘出 1.07%)、Verrucomicrobia(sham 0.76%、5/6腎摘出 0.07%)となり腎不全モデルにおける腸内フローラ悪化に関する統計学的有意差は認められなかった。
3: やや遅れている
腎不全モデルマウスにおける腸内フローラを解析した結果、Lactobacillusが予想に反し、shamグループより増加傾向にあった。それ故、lactuloseを用いた治療介入がまだできていない。
腎不全の期間が1か月であったため腸内フローラの悪化が生じなかった可能性がある。今後、腎不全の期間を3か月、6か月と延長することにより経時的な腸内フローラ変化を確認する。
(理由)消耗品(抗体)の購入、計測費用として支出することを検討していたが、前者については国内在庫が枯渇しており当該年度内での購入が困難であった。後者については当該年度内に検体を用意することができなかった。(使用計画)次年度使用額として計上し、実験遂行に必要な消耗品の購入と計測費に充てる予定である。より計画的に使用する。
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