研究実績の概要 |
本研究の目的は、これまでに研究代表者が進めてきた『高血圧症の食塩感受性をもたらす尿細管性機序の分子病態』を明らかにする研究の成果に基づき、尿細管 レニン・アンジオテンシン系と遠位尿細管細胞における上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)、その特異的制御因子Nedd4Lに着目した食塩感受性・高血圧症の制圧に ある。ヒトゲノムの解析(Ishigami T et al. 1997, 1999, Hypertension, 2002, J Hum Genet.)から、遺伝子改変動物(Nedd4L, ARen2) を解析した高血圧発症分子病態モデルの機作を精査するとともにヒトへの応用を行い、ヒト尿細管に着目した高血圧症・食塩感受性の疾病・病態の克服を目指す。これまでに、in silicoに、マウス Nedd4-2遺伝子の分子多様性を明らかにし、Nedd4-2 C2ドメインをコードする新規エクソンの発見に成功し、Nedd4-2 C2ドメイン特異的なKOマウスを作製し表現 型を解析した。(Minegishi S,Ishigami T, et al.Scientific Reports, 2016)Nedd4-2 C2ノックアウトマウスを対象にして、エプレレノン抵抗性の機序、心筋の 電気的リモデリングの機序について解析を行い、論文化した。(Kino T, Ishigami T, et al. IJMS, 2017, Minegishi S, Ishigami T, et al. IJMS, 2017)尿細管RA系‐ENaC-Nedd4L/Nedd4-2系による、ナトリウム再吸収機構の制御へむけて、近位尿細管AGTの発現・分泌機序を明らかにすること、ならびにNaイオンの細胞内出納によっておこる、遺伝子転写調節に着目したExcitation-Transcription Couplingを解明するための、新たな動物モデルを作成し、検討する予定である。
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