研究課題/領域番号 |
17K09731
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
塩井 淳 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (90260801)
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研究分担者 |
森岡 与明 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30382154)
庄司 哲雄 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (40271192)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 慢性腎臓病 / 血管石灰化 / アデニン負荷 / 高リン食 / エンドトキシン |
研究実績の概要 |
アデニン+高リン食負荷による慢性腎臓病(CKD)マウス血管石灰化モデルの確立 C3H/HeNおよびC3H/HeJマウスにおいて0.2%アデニン+高リン食(Ca;1.0%, P:2.0%, Na:0.5%)負荷によりCKD血管石灰化モデルの作製を行った。10週齢のC3H/HeN (n=10)およびC3H/HeJ (n=10) マウス(雄性)に0.2%アデニン+高リン食 (各系統n=5) を12週間負荷したところ、それぞれの系統の高リン食単独群 (各系統n=5) に比して有意な体重減少が認められた。しかし、アデニン負荷群間およびコントロール群(高リン食単独群)間では、体重の有意な差は認められなかった。血液生化学データでは、C3H/HeNおよびC3H/HeJのいずれの系統においても、アデニン負荷によりコントロール群に比してBUN、CreおよびP値の上昇が認められた。しかし、アデニン負荷群間およびコントロール群間では、BUN、CreおよびP値に有意な差は認められなかった。一方、血清Ca値は、アデニン負荷群間で比較するとC3H/HeNマウスにおいて有意な低下が認められたが、コントロール群間では有意差はなかった。大動脈石灰化をアリザリンレッド染色により検討すると、コントロール群では、両系統とも大動脈の石灰化を認めなかった。一方、アデニン群間ではC3H/HeJマウスに比してC3H/HeNマウスにおいて大動脈石灰化の促進が観察された。 C3H/HeJマウスはエンドトキシンに対する感受性が欠如していることから、腸内細菌に由来するエンドトキシンがCKDマウスにおける血管石灰化の発症に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していたapoEノックアウトマウスにおいてアデニン負荷によるプラーク石灰化モデルを作製する試みが予定通りに進まなかったこと、また、文献的にしばしば報告されているDBA/2雌性マウスを用いた血管石灰化モデルの作製も成功しなかったことなどが計画より遅れている原因と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度にC3H/HeNおよびC3H/HeJマウスにおいてアデニン+高リン負荷による血管石灰化モデルを確立できたことから、主要なテーマである血管石灰化の発症における腸内細菌由来のエンドトキシンの役割に関する検討に焦点を絞り今後研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデルマウスの作製が計画より遅れているため、in vivoでの解析に必要となる試薬の購入が予定より少なかったことが理由として挙げられる。今後、マウスモデルを用いたin vivoでの検討を積極的に進める。
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