研究課題/領域番号 |
17K09740
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
横山 啓太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70211654)
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研究分担者 |
中島 章雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20624688)
浦島 充佳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80203602)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リン代謝 / 糖代謝 / 鉄代謝 / 慢性腎臓病 |
研究実績の概要 |
我々は、慢性腎臓病患者(透析患者)における横断研究において、25OH Vitamin Dと握力が強い相関関係があることを確認した。生命予後と関連するFGF23などのミネラル代謝と握力との関係を検討した。その結果FGF23など他のミネラル代謝関連因子と握力は有意な関係を示さなかった。次に、慢性腎臓病患者(保存期腎不全糖尿病患者)において25OH Vitamin Dと糖代謝の関係を検討した。保存期腎不全糖尿病患者では、HbA1cが逆相関することが明らかになった。本研究ではHbA1cと関連した他のミネラル代謝関連因子はP,iPTH,FGF23ではなく血清Caであった。 HbA1cと血清Caは正の相関を示した。25OH Vitamin Dの投与と筋肉量の増加あるいは25OH Vitamin Dと糖代謝に関する報告は現在までも散見されるが、慢性腎臓病患者においても同様の結果が見出された。 以上より、慢性腎臓病患者において糖代謝とミネラル代謝は関連するが、リン代謝とミネラル代謝の関係を強く示唆する結論を得ることは出来ていない。BioRad(糖エネルギー代謝関連分子測定キット)により、ミネラル代謝と筋・エネルギー代謝連関を結びつける因子の探索を行った。その結果、保存期糖尿病患者においてリン代謝を制御するFGF23とインスリン抵抗性と関連する血清Resitin濃度が相関を示した。この内容をScientific Reportsに報告した。この現象が糖代謝と関連するかについての解析に着手した。 更に他施設共同研究でリン吸着薬であるクエン酸第二鉄投与による前向き比較試験で初めて鉄の負荷が貧血改善に有効であることに加えて,リン制御の中心的ホルモンである線維芽細胞増殖因子23 (FGF23)を血清リン濃度の変化なしに減少させることを明らかにした。本内容はScientific Reportsに報告した。 加えて、平成31年度は、PTHおよびFGF23を抑制するCa受容体作動薬であるEvocalcetの人での臨床治験を行い、その効果をScientific Reportsに報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に論文化したリン代謝の知見に加えて、糖代謝に関して、連続的に血糖変化を観察できるFreeStyleLibreが使用可能となり、ヒトでの糖代謝を個別に連続的に観察できるようになった。その結果、ヒトでの食事負荷による血糖変化をリアルタイムで観察できる手法を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
Scientific Repotrsに報告したresistinとFGF23がCKD患者の予後と以下に関連するかを明らかにしたい。 また、リン吸着薬であるクエン酸第二鉄による介入でresistinとFGF23がどの様な挙動を示すかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
既に論文化したリン代謝の知見に加えて、糖代謝に関して、連続的に血糖変化を観察できるFreeStyleLibreが使用可能となり、ヒトでの糖代謝を個別に連続的に観察できるようになった。その結果、ヒトでの食事負荷による血糖変化をリアルタイムで観察できる手法を得ている。それに対する知見を集めたいと考えているため。 また、Scientific Repotrsに報告したresistinとFGF23がCKD患者の予後と以下に関連するかを明らかにしたい。 また、リン吸着薬であるクエン酸第二鉄による介入でresistinとFGF23がどの様な挙動を示すかを明らかにすることを目指している。
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