• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

αシヌクレインを介するヒストン修飾機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K09745
研究機関東北大学

研究代表者

菅野 直人  東北大学, 大学病院, 助教 (30509550)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードαシヌクレイン / ヒストン修飾 / 神経分化 / 免疫沈降
研究実績の概要

αシヌクレインがヒストン修飾に与える影響を調べる手がかりとして、まずαシヌクレインが核内において相互作用を持つタンパクのスクリーニングを行った。具体的には培養細胞であるHEK293細胞を用い、HAタグを付加したαシヌクレインを恒常的に発現する細胞株を樹立。次いで、本細胞を大量に培養後に細胞分画を行い核分画を得た。この核分画においてEZviewビーズを用いてHAタグタンパクを回収、ついで精製。産物を非αシヌクレイン発現細胞における精製物と共にSDS-PAGEで分離、銀染色でバンドパターンの違いを確認。その上で、nanoLC-MS/MSによる網羅解析を行った。コントロールに比べSpC 5倍以上であるものを有意としたところ103の核内タンパクが同定された。そのうち転写調整に関与するものを選択し、ウェスタンブロットにおいてαシヌクレインとのinteractionを確認したところ7つに絞り込まれ、極めて興味深いことにそれらの一部は共通の経路に存在し、その中核となるのは神経発生において重要な役割を果たすある複合体であった。本複合体は神経発生の過程において、その構成タンパクに変化が生じることが知られている。構成タンパクそれぞれのタンパクに対する免疫沈降によって複合体の構成を検討したところ、αシヌクレインを神経細胞分化過程で強発現させると、複合体の構成変化が抑制されることが明らかとなった。また、この複合体にはヒストン修飾に関わる酵素が結合する事を明らかにした。同一条件下の細胞から、ヒストンのみを抽出。得られたヒストンの修飾パターンを解析したところ、αシヌクレイン存在下ではその酵素が特異的に調整するヒストン修飾に変化が観察されることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

核においてαシヌクレインと結合するタンパクを網羅解析したところ、複数の候補が挙がり、さらにそれらをwetの実験で裏付けることができた。αシヌクレインと結合するタンパクにはヒストン修飾因子/転写因子が含まれており、当初の予定通り本因子を鍵としてクロマチン免疫沈降へと検討を進めることができる。

今後の研究の推進方策

複合体に結合するヒストン修飾酵素と、実際に観察されたヒストン修飾の関わりをより深く検討していく。具体的には、修飾酵素の活生変化をマイクロプレートベースを用いin vitroベースで検討する。最終的には、変化がもたらされたヒストン修飾によって影響を受ける遺伝子転写をクロマチン免疫沈降法を駆使し解明して行く予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度に次世代シーケンサーによるクロマチン免疫沈降産物の受託解析が必要となり、1,000,000円程度のまとまった支出(解析費)を要するため。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Parkinson’s disease-linked DNAJC13 mutation aggravates alpha-synuclein-induced neurotoxicity through perturbation of endosomal trafficking2018

    • 著者名/発表者名
      Yoshida Shun、Hasegawa Takafumi、Suzuki Mari、Sugeno Naoto、Kobayashi Junpei、Ueyama Morio、Fukuda Mitsunori、Ido-Fujibayashi Akemi、Sekiguchi Kiyotoshi、Ezura Michinori、Kikuchi Akio、Baba Toru、Takeda Atsushi、Mochizuki Hideki、Nagai Yoshitaka、Aoki Masashi
    • 雑誌名

      Hum Mol Genet.

      巻: 27 ページ: 823~836

    • DOI

      10.1093/hmg/ddy003

    • 査読あり
  • [雑誌論文] DnaJ/Hsp40 Family and Parkinson's Disease2018

    • 著者名/発表者名
      Hasegawa Takafumi、Yoshida Shun、Sugeno Naoto、Kobayashi Junpei、Aoki Masashi
    • 雑誌名

      Front Neurosci.

      巻: 11 ページ: 743~743

    • DOI

      10.3389/fnins.2017.00743

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Membrane Trafficking Illuminates a Path to Parkinson's Disease.2017

    • 著者名/発表者名
      Hasegawa T, Sugeno N, Kikuchi A, Baba T, Aoki M.
    • 雑誌名

      Tohoku J Exp Med.

      巻: 242 ページ: 63~76

    • DOI

      10.1620/tjem.242.63.

    • 査読あり
  • [学会発表] Alpha-synuclein enhances histone H3 lysine-9 dimethylation2017

    • 著者名/発表者名
      Naoto Sugeno, Sandra Jackel, Aaron Voigt, Philipp Kahle
    • 学会等名
      International Congress of Parkinson's Disease and Movement Disorders
    • 国際学会
  • [学会発表] α-シヌクレイン核内結合タンパクの探索2017

    • 著者名/発表者名
      菅野 直人、長谷川 隆文、小林 潤平、吉田 隼、江面 道典、菊池 昭夫、武田 篤、青木 正志
    • 学会等名
      MDSJ
  • [図書] 運動失調のみかた,考えかた III-8 プリオン仮説2017

    • 著者名/発表者名
      菅野 直人、長谷川 隆文
    • 総ページ数
      358 (292-299)
    • 出版者
      中外医学社
    • ISBN
      978-4-498-22890-0

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi