研究実績の概要 |
ALSやFTLDなどの原因不明な神経変性疾患の病態を解明するにはニューロン特異的な解析が必須であるが、モデル動物において変性過程にあるニューロンの単離は非常に困難であった。この問題を解決するために、我々はニューロン特異的human synapsin 1プロモーター下にRibotag(GFP-RPL10a)とCreを共発現するSyn-Ribotag-Creマウスを作成し、このマウスとALS/FTLD病態の中でloss-of-functionが想定されているTDP-43やTBK1のfloxマウスと交配することで、ニューロン特異的なtranscriptome解析を可能にし、ALS/FTLDの変性機構を明らかにすることを目的に研究を進めている。昨年度までにSyn-Ribotag-Creマウスのラインを確立し、GFP-RPL10aと Cre蛋白の発現パターンの解析を行った。2018年度はSyn-Ribotag-CreマウスとTDP-43 floxマウスを交配させてニューロン特異的TDP-43ノックアウトマウスの作成を行った。Syn-Ribotag-Cre+/-; TDP-43flox/+マウスは問題なく出生した。表現系解析としてnovel object recognition test, open field test, elevated-plus maze test, social interaction test, fear conditioning test, rotarod test, grip strength testを生後29週齢のマウス(コントロール10匹、ノックアウトマウス10匹)に対して行ったが目立った表現系は観察されなかった。TBK1 floxマウスとの交配も行いSyn-Ribotag-Cre+/-; TBK1flox/+マウスを得、表現系の解析を行っている。
|