研究課題/領域番号 |
17K09761
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
松川 則之 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (20305543)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | HCNP / acetylcholine / hippocampus / A beta |
研究実績の概要 |
本研究は、cognitive researveのメカニズムを我々の発見した中隔核コリン作動性神経の制御因子の一つであるHippocampal cholinergic neurostimulating peptide (HCNP)により明らかにすることを目的とする。HCNP発現量により認知機能障害の発症時期に影響を与える可能性があるか、即ち①HCNP 過剰発現は記憶障害発症が遅らせるか、また ②HCNP 発現抑制(ノックアウト)は記憶障害発症が早まるかを明らかにする。 平成29年度の目標である以下の点について①電気生理学的手法を用いて、HCNP ノックアウトマウス海馬においてシータ波が抑制されていることを確認した。②合成(S26C Aβ1-40)オリゴマーを作成し、βシート構造を呈すること、濃度依存性に海馬神経活動を抑制すること、コリン作動性神経賦活によってその抑制は阻止されることおよびHCNPの過剰発現によっても同様に合成Aβオリゴマーによる神経活動抑制が阻止されることを明らかにできた(論文掲載済)。現在、HCNPノックアウトマウスにおいて、抵抗性が減少している可能性を検証している。 平成30年度目標に向けて、個体においても同様なことが確認されることを検証するために、APP-KIマウスの繁殖を実験動物センターにて開始し、現在HCNPトランスジェニックマウスもしくはHCNPノックアウトマウスとの交配を準備している。また、協力研究施設である福祉村病院剖検脳を用いて、中隔核標本のサンプリングを開始したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の目標は概ね遂行し、その一部の結果は論文として投稿した。また、30年度と31年度の実験準備も終わり、順調に開始できている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに準備できたAPP-KIマウスとHCNPトランスジェニックマウスもしくはHCNPノックアウトマウスと交配を行い、30年度末を目標に行動学・電気生理学的データを解析する予定である。また、本年当初より開始したアルツハイマー剖検脳による中隔核・海馬標本の集積を継続し、HCNP、ChAT陽性細胞、アルツハイマー病病理と生前認知機能の相関を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度繰越金(55.305円)と平成30年度予定額を合わせ、平成30年度計画である遺伝子改変動物飼育・行動学的検討および電気生理学的検討を引き続き遂行する予定である
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