研究課題
我々の研究室で発見した海馬由来コリン作動性神経刺激ペプチド(HCNP)が、アルツハイマー病モデルにおいて認知機能維持(認知予備能)・悪化に影響するかを検討した。HCNP過剰発現した海馬では、合成S26CAβオリゴマーによる海馬活動抑制に抵抗性を示すことを確認した。またHCNPノックアウトマウスでは、①海馬神経活動が抑制されていること、②海馬striatum oriensのコリン作動性神経終末が萎縮している可能性、③今回用いた行動評価では明らかな学習障害を示さないことを確認した(論文発表済)。更に、④マイクロダイアリーシス法により海馬内のAch量が低下していること、⑤VAChTが減少していることを確認した(論文投稿中)。HCNP抑制海馬では、合成S26CAβオリゴマーに対してより鋭敏に海馬神経活動が抑制される可能性があり、現在検証中である。個体における認知機能への影響を確認するために、HCNPノックアウトマウスとAPPノックインマウスとの交配動物を作成して認知機能評価を行ったが、生後4か月後では明らかな異常を示さず、今後7カ月、10か月と3か月毎に行動評価をしていく予定である。ヒト剖検脳を用いて、アミロイド量が少ないにもかかわらず認知機能障害が明らかな群、アミロイド量が多いにもかかわらず認知機能が維持されている群における内側中隔核コリン作動性神経数比較では、人剖検脳において内側中隔核を同定することは困難であったために、現在マイネルト基底核に変更して再評価をしている。大凡予定した実験は計画通り遂行し結果が得られた。近い将来HCNP維持が、海馬神経活動維持に関与する可能性が予定通り示される可能性がある。コリン作動性神経活動とアミロイド仮説を介して、認知機能維持(認知予備能)の分子メカニズムの一部が明らかになる可能性がある。
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