研究課題/領域番号 |
17K09762
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
安部 貴人 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30365233)
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研究分担者 |
高橋 慎一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (20236285)
伊藤 義彰 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90265786)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脳梗塞 / dimethyl fumarate / Keap1/Nrf2 |
研究実績の概要 |
我々は既にマウスの中大脳動脈虚血再灌流モデルにおいて、dimethyl fumarate(DMF)が梗塞巣の縮小させ、神経保護効果をもたらすことを報告したが、さらにDMFがマウスの脳梗塞後の神経症状に与える影響を検討するため、Hanging wire testにより梗塞後の神経症状を評価した。虚血再灌流168時間後の時点において、DMF群では前腕でつかませたwireからの落下までの潜時が50.6 ± 3.4秒(n=14)で、control群の38.1 ± 4.5秒(n=13)に比べ優位に延長しており(p<0.05)、DMFによる神経症状の改善が認められた。 またDMFによる神経保護メカニズムを培養細胞において検討した。まずRT-PCRによりDMFがKeap1/Nrf2システムに与える影響を検討した。C57BL/6マウスから培養した細胞(astroglia、microglia、neurons)をDMSOを投与したvehicle群、DMFを投与したDMF群に分け、薬剤投与6時間後にmRNAを抽出し、RT-PCRでNrf2の下流にあるHO-1の発現の変化を比較した。対照遺伝子としてはglyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)を使用した。各神経系細胞において、DMF投与によりHO-1の発現が上昇しており、Keap1/Nrf2系の活性化が示された。しかし、実際の脳ではDMFはまずmonomethyl fumarate(MMF)に代謝され、それが血液脳関門を通過し脳に直接作用するといわれている。そのため、MMFでも同様の実験を施行したが、microgliaで若干のHO-1の発現の上昇を認めたものの、neuron,astrocyteでは有意な変化を認めなかった。DMFがin vivoの脳梗塞時にKeap1/Nrf2系を活性化させるかどうかは、さらなる検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DMFにより脳虚血後の梗塞体積、梗塞後神経症状の改善が認められ、またそのメカニズムの解明のため、in vitro脳虚血の系を確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
MCAOによる脳虚血後の組織を抽出し、in vivoでのKeap1/Nrf2活性化の検討を行っていく。Nrf2ノックアウトマウスを使用し、DMFを投与した上で脳虚血を作成し、神経保護効果が認められるか実験を行い、Keap1/Nrf2系の関与を直接検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度使用額はほぼ予定通りであった。
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