研究課題
前年度まで、脳梗塞後に発現するSemaphorin3Aを機能阻害することで、神経細胞内シグナル伝達の制御とともに虚血後アストロサイトの活性化及びグリア瘢痕が抑制されること、アストロサイト由来エクソソームが神経細胞に作用し軸索再生が促進されることを見出した。この結果を受けて、脳梗塞後peri-infarct areaに形成されるグリア瘢痕自体を制御することで、軸索再生や機能回復が昂進するという仮説に基づき、アストロサイトとマイクログリアのクロストークに着目した。ラット中大脳動脈閉塞(MCAO)モデルを作成し、MCAO後3、7、14、28、56日のperi-infarct areaにおけるマイクログリアとアストロサイトの経時的変化を免疫組織染色にて解析した。Iba-1陽性マイクログリアはMCAO後7日目まで増加、その後減少した。一方で、GFAP陽性アストロサイトは3日目から56日にかけて増加傾向を示した。つまり、マイクログリアは脳梗塞後急性期、アストロサイトは慢性期にピークを迎え、これらのグリア細胞間に相反作用や何らかのクロストークが存在する可能性を考えた。In vitroでは、無糖無酸素負荷(OGD)でマイクログリアの形態を解析し、OGD後では静止型が有意に減少、OGD後2ではアメーバ型やロッド型が増加する傾向にあった。マイクログリアの二極性(M1/M2)にも着目し、傷害型マイクログリアM1のマーカーであるiNOsや保護型マイクログリアM2マーカー(Arg-1)の発現を解析した。また、OGD後の培養アストロサイトにマイクログリア培地を投与することでアストロサイトとマイクログリアのクロストークを解析した。OGD後のマイクログリア培地をOGD後培養アストロサイトに投与し、GFAP、CSPGの発現を解析した。虚血後マイクログリアはアストロサイト活性に作用する可能性を考えている。
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Glia
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10.1002/glia.23814
Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism
10.1177/0271678X19899577
International Journal of Molecular Sciences
巻: 20 ページ: 5549~5549
10.3390/ijms20225549