本研究課題では、若年性パーキンソン病原因遺伝子産物PINK1とParkinが制御するマイトファジーシグナル伝達に関与する新規分子Phospho-ubiquitin-binding protein 1 (PUBP1)を同定し、その機能解析を行っている。 マイトファジーの主要なキナーゼの1つであるTBK1:TANK-binding kinase1によるオートファジーアダプター蛋白質群のリン酸化修飾は、ミトコンドリアへの局在化とマイトファジー活性化に重要である。PUBP1がマイトファジーのどのステップで関与しているのかを明らかにする為、TBK1のSer172番目リン酸化修飾(キナーゼ活性化型)への影響を確認した。その結果、野生型と比較し、PUBP1欠失HeLa細胞においては、ミトコンドリア局在性のリン酸化TBK1発現量が有意に低下した。 次に、隔離膜形成に関与するDFCP1の隔離膜への局在化への影響を確認した。結果、野生型と比較し、PUBP1欠失細胞においてはDFCP1陽性パンクタ数が有意に増加した。DFCP1のパンクタ数の増加は、オートファジーフラックスの低下を示唆している。 以上の結果から、PUBP1機能はPINK1-Parkin経路マイトファジーにおいてTBK1の活性化を正に制御し、下流のオートファジー活性化にも寄与するものと考えられた。従って、PUBP1はPINK1とParkinにリンクするパーキンソン病の発症に関与することが示唆された。
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