研究課題/領域番号 |
17K09771
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐々木 秀直 北海道大学, 医学研究院, 特任教授 (80281806)
|
研究分担者 |
矢部 一郎 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (60372273)
関 俊隆 北海道大学, 大学病院, 助教 (80241446)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 遺伝子 / ゲノム / 神経疾患 |
研究実績の概要 |
脊髄空洞症は脊髄内部に脳脊髄液が貯留した空洞を形成することで感覚障害や疼痛を呈する疾患で、キアリ奇形などと関連して生じる。主に神経所見と脊髄MRIにて診断がなされる。本邦では2008年8月から2009年7月の1年間における全国疫学調査が実施され、その有病率は人口10万人あたり1.94人程度であろうと推定されている。脊髄空洞症の発症素因は解明されていないが、家族歴症例が存在すること、キアリ奇形などの後頭蓋窩や脊椎の奇形を合併する症例も多いことから、発症には何らかの遺伝素因が関与するものと考えられている。2015年にわれわれは本邦における家族性脊髄空洞症の頻度および臨床的特徴を明らかにするために、全国の神経内科、脳神経外科、整形外科、小児科を標榜する病院(各学会認定教育施設)4,158施設を対象に疫学調査を実施した。その結果、2,791施設(回収率67.1%)より回答を得た。二回にわたり調査を行った結果、5家系が家族性脊髄空洞症に該当した。いずれも両親のいずれかまたは同胞に発症をみる家系であり、全例キアリ奇形1型を伴っている家系であった。そのような背景を踏まえて計画された本遺伝子解析研究については、2017年に新たにキアリ奇形1型に伴う脊髄空洞症の姉妹と軽度のキアリ奇形1型のみを認める母の家族例を見出した。現在この家族例に加えて、発症者と家系内非発症者の2組と伴に次世代シークエンサーを用いて遺伝子解析を実施中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キアリ奇形1型に伴う脊髄空洞症の姉妹と軽度のキアリ奇形1型のみを認める母の家族例を見出した。現在この家族例に加えて、発症者と家系内非発症者の2組と伴に次世代シークエンサーを用いて解析中であるが、現時点で素因遺伝子は同定できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
検体をさらに集積し、遺伝子解析研究をさらに進捗させる予定である。
|