研究課題
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(Chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy:CIDP)は自己免疫機序により末梢神経に脱髄を生じる疾患であり、慢性に進行する対称性の四肢の筋力低下と感覚障害を主徴とする。CIDPの病態には液性免疫が関与することが推定されており、これまで自己免疫の標的分子に着目した研究が行われてきたが、自己抗体は見つかっていない。CIDPは臨床病型によりtypical CIDP とmultifocal acquired demyelinating sensory and motor neuropathy(MADSAM) を含むatypical CIDPに分類され、病型毎に病態が異なると考えられている。そこで、われわれはprotein active array systemを用いて約1433種類の蛋白質からCIDPの患者血清IgG中の自己抗体の網羅的探索を行った。Typical CIDPで少なくとも1症例以上で陽性であった抗原について、バイオインフォマティクスのデータベースを用いて、その機能を調べると、Biological processとして細胞表面やG蛋白質関連の受容体が多く見られた。Molecular functionとしてペプチド結合や脂質結合が多く見られ、陽性となっている分子の約半分が受容体分子であり、一定の傾向があることがわかった。さらに、正常対照に較べてtypical CIDPの複数症例で高値を示す蛋白質が3種類みつかった。これについてELISAを行ったところ、そのうちの一つの蛋白質に対する自己抗体が、CIDPと疾患対照群を比べて、CIDPで優位に高値であった。
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Muscle & Nerve
巻: 59 ページ: E28~E30
10.1002/mus.26430
Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry
巻: 90 ページ: 133~137
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