研究課題
視神経脊髄炎(neuromyelitis optica;NMO)は繰り返す視神経炎と脊髄炎及び抗アクアポリン4抗体の出現を特徴とする中枢神経炎症性疾患である。我々は視神経脊髄炎(NMO)における抗アクアポリン4抗体の病原性を世界に先駆けて報告し、NMOがアクアポリン4抗体によるアストロサイトパチーであることを明らかにした。さらに急性期NMO患者の免疫吸着後カラムから精製したIgGをパッシブトランスファーすることにより世界で初めてNMO動物モデルを作成した。本研究では42歳NMO女性の再発時髄液からプラズマブラストのシングルセルソーテイングを行い、アクアポリン4抗体遺伝子をクローニングした。アクアポリン4強制発現HEK293細胞に対するフローサイトメトリー及び免疫染色でアクアポリン4に対する結合を確認した。その中から合計8クローンのアクアポリン4抗体が合成出来た。またアクアポリン4強制発現HEK293細胞にヒト血清とともに添加してLDHの培地への増加を測定することにより、アクアポリン4抗体の細胞障害性を確認した。クローニングしたアクアポリン4抗体遺伝子は293T細胞に強制発現させ、リコンビナントアクアポリン4抗体を大量に合成することに成功した。また本年度は原因不明の脊髄炎患者血清の収集を行った。十数例の脊髄炎患者血清を集め、ラット脊髄に対する免疫染色を行ったところ数例の陽性症例を見出した。
2: おおむね順調に進展している
視神経脊髄炎患者由来モノクローナルアクアポリン4抗体の大量の合成に成功した。また原因不明の脊髄炎患者血清を用いてラット脊髄に対する免疫染色を行い数例の陽性症例を見出した。今後の慢性脊髄炎及び視神経脊髄炎研究の発展につながると考えられる。
視神経脊髄炎患者由来モノクローナルアクアポリン4抗体を用いて視神経脊髄炎動物モデルの作成や新たな病態メカニズムの解明に役立てていく。また質量分析等の手法を用いて慢性脊髄炎患者に出現する自己抗体同定を目指す
研究が順調に推移し、抗体やプラスミドなどの購入が少額で目的が達成できたため。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Sci Rep
巻: 8 ページ: 34
10.1038/s41598-017-18362-2 10.
PLoS One
巻: 12 ページ: e0187215
1371/journal.pone.0187215.