研究課題
本研究では抗AQP4抗体研究やEAE研究を通じて確立した実験系を液性免疫が病態に関与すると思われる神経免疫疾患、特に自己免疫性脊髄炎に応用し、自己抗体の発見と病態の解明を目的とする。対象は①抗AQP4抗体や抗MOG抗体等の既知の自己抗体が陰性 ②既存の神経免疫疾患が否定的 ③臨床症状や画像所見から脊髄が主病巣 ④ステロイドパルスや血液浄化療法、大量ガンマグロブリン療法などの免疫療法が有効 を満たす症例である。症例の血清からIgGを生成し、ウェスタンブロットや質量分析装置を用いて抗原の同定を目指す。抗原を同定した自己抗体は、特異性及び病勢との関連を検討し、バイオマーカーとしての意義を検討するとともに、病原性を評価し、治療ターゲットとしての可能性を検討する。病原性が示唆される場合にはsingle cell sortingを使用した抗体遺伝子クローニングを行い、病原性モノローナル抗体を作成する。また視神経脊髄炎患者髄液にはAQP4抗体以外の抗体も存在すると考えられており、我々はラット脳に反応する抗体を同定している。本研究の特色は当施設で長年保存してきた血清、髄液及び血球を用いて未知の自己抗体を脊髄炎で同定し、診断バイオマーカーを確立するとともに、シングルセルテクノロジーにより病原性モノクローナル自己抗体を作成し、治療法の開発につなげることである。シングルセルテクノロジーを用いて神経免疫疾患患者由来のモノクローナル抗体作成を行っている研究室は国内に他に存在せず、本研究をきっかけに日本発の独自の神経免疫疾患研究の発展が期待できる。
2: おおむね順調に進展している
アクアポリン4抗体のリコンビナント抗体作成に成功した。アクアポリン4以外の抗原を認識する抗体も同定できている。
更に抗原の同定を進める
当初予定した実験を実行する必要がなくなったため
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J Neuroinflammation.
巻: 15 ページ: 125
10.1038/s41598-017-18362-2 10.