研究課題
本研究はGFP骨髄キメラパーキンソン病(PD)モデルラットを用い、ドパミン神経障害から神経細胞死に至る過程の中で血管内免疫細胞と脳ミクログリア(MG)が何を起点に関わり始め、病態を形成していくのかを明らかにすることを目的とする。昨年度はX線照射時に頭部防護の有無、脾細胞の併用移植の有無、移植後のプレドニゾロンの有無などの条件割付を行い仮設の検証に適した条件を見出した。本年度はこのモデルラットを用いて、免疫組織学的に抗tyrosine hydroxylase(TH)抗体、抗ionized calcium binding adaptor molecule 1 (Iba-1)抗体を用いてドパミン神経細胞、ミクログリアを同定しその経時的変化につき評価した。また、患側中脳黒質領域におけるGFP陽性細胞を蛍光顕微鏡下で定量的に解析した上で、CD4、CD8の局在性に関して解析した。中脳黒質TH陽性細胞数の病側と健側比では6-OHDA投与3日後までは変化がなく、7日目から進行性に減少した。中脳黒質Iba-1陽性細胞数は6-OHDA投与14日後まで増加し、その後減少した。患側中脳黒質GFP陽性細胞数は6-OHDA投与7日後まで増加しその後に減少した。ドパミン神経変性に先行して病側中脳黒質にGFP陽性細胞を認め、その形態からリンパ球が推定された。約半数の細胞はCD8陽性であった。一方でCD4に関しては、各種条件を変えて免疫染色を検討しているが明らかな発現が現時点で確認できていない。
3: やや遅れている
GFP陽性細胞のリンパ球サブセットの同定に難渋している。理由としてマウスではなくラットを用いた点でGFP陽性細胞のリンパ球サブセット解析に用いられる抗体の品質に関する情報が十分でない事が挙げられる。
引き続き、各種抗体を用いて脳内浸潤GFP陽性細胞のcharacterizationの解析を進める。また末梢血から血球成分を分離した上でリンパ球サブセットの解析も行っていく予定である。また、カスパーゼ3抗体などを用いて神経細胞死とミクログリアの活性化、脳内浸潤GFP陽性細胞の関連について解析を進める。
GFP陽性細胞のプロファイルに使用する各種抗体の選定、購入が遅れているため。選定を継続し高品質の抗体を確認しだい購入する予定である。
すべて 2019 2018
すべて 学会発表 (3件)