研究実績の概要 |
本研究はGFP骨髄キメラパーキンソン病(PD)モデルラットを用い、ドパミン神経障害から神経細胞死に至る過程の中で血管内免疫細胞と脳ミクログリア(MG)が何を起点に関わり始め、病態を形成していくのかを明らかにすることを目的とする。昨年度はX線照射時に頭部防護の有無、脾細胞の併用移植の有無、移植後のプレドニゾロンの有無などの条件割付を行い仮説の検証に適した条件を見出した。ドパミン神経変性に先行して病側中脳黒質にGFP陽性細胞を認め、その形態からリンパ球が推定された。約半数の細胞はCD8陽性であった。一方でCD4に関しては、各種条件を変えて免疫染色を検討しているが明らかな発現が現時点で確認できていない。また第4のグリア細胞と言われ、近年神経炎症制御を介した神経保護作用が注目されているNG2細胞と神経変性疾患に関する知見も報告され始めている(Nakano M et al., Sci Rep. 2017)。胎生卵黄嚢に存在する前駆細胞が脳に移動し常在するミクログリアでは移動後には特殊な病的状態を除いて骨髄からの供給はほとんど認められないことに対し、NG2細胞は骨髄細胞からも供給を受けていることが報告されている。現在NG2細胞の免疫染色を行い、その経時的変化について解析を行っている。
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