研究実績の概要 |
免疫介在性壊死性ミオパチー (IMNM)172例のHLA遺伝子6座をSBT法で解析、本疾患に有意なリスクアレル HLA-A*02:07, -B*46:01, -C*01:02, -DRB1*08:03, -DRB1*11:01, -DQB1*06:01, -DPB1*05:01を同定した。さらに、本疾患に関連する、抗HMGCR抗体、抗SRP抗体陽性、スタチン内服、膠原病合併、悪性腫瘍合併の症例に分け、サブ解析を行うことで、それぞれのグループに有意なリスクアレルを抽出した。また、IMNM 6座における上記のリスクアレル全て(リスクハプロタイプ)をもつ8症例についてHLA全領域を次世代シークエンシングにて配列を決定した。一方、本疾患は通常成人に多いが、抗HMGCR抗体陽性IMNMに罹患した小児6例、抗SRP抗体陽性IMNM 小児5例について遺伝子解析し、成人とは違う結果を導いた。 炎症性筋疾患のうち、抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体陽性の筋炎患者 (抗シンセターゼ症候群;ASS)51名の血液DNA (HLA-DRB1)を解析した。結果、本疾患に有意に多いアレルは認めなかった。我々は昨年度、筋炎の一病型である患者においてHLA-DRB1*08:03が有意に多いことを報告したが、今回ASSがIMNMとは違う遺伝学的背景及び病態を持つ可能性を示唆した。 日本人健常者に対するIMNM患者群、IMNMにおける危険因子毎、炎症性筋疾患他病型に対するIMNM患者群など、様々な角度から本疾患の遺伝学的背景を同定する取り組みを進めた。
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