研究課題
本研究全体を通して、日本人免疫介在性壊死性ミオパチー (IMNM)233例のHLA解析を行い、A*02:01、A*02:07、B*46:01、C*01:02、DRB1*08:03、DRB1*11:01、DQB1*06:01、DPB1*05:01が有意に多いことを示した。また、抗合成酵素症候群51例のHLA-DRB1を解析し、患者群に有意に多いHLAアレルはないことを報告した。IMNMとASSは明らかに違う遺伝学的背景を持つこと、これまでの研究ではPMとされていた中にIMNMが多く含まれていた可能性があることを示唆した。2019年度は、免疫関連副作用筋炎15例のHLA遺伝子をNGSにて網羅的に解析し、C*12:02が患者群において有意に多いことを報告した。さらに6歳のタイ人抗HMGCR抗体陽性IMNM患者についてDRB1*15:01をホモ接合体で有することを報告した。HLAは民族間でアレル頻度が大きく異なることから、日本人独自の疾患関連解析を行う必要があるのは当然のことながら、民族間での比較をすることで、さらに病態が明確になると想定される。またシンポジストとして、IMNMの遺伝子解析について国内学会にて講演を行った。さらに封入体筋炎 (IBM) 83例のHLA解析も行い、DRB1*08:03、DRB1*09:01が有意に少ないことを報告した。DRB1*09:01は日本人で最も頻度の高いアレルであることから、日本人に同疾患が少ないことの一因である可能性を示唆した。また、DRB1*08:03はIMNMのリスクアレルであるが、IBMにおいてはプロテクティブアレルとなることを証明し、2病型に全く異なる遺伝学的背景があることを示唆した。以上のように、IMNMの疾患関連解析のみならず、筋炎全体の病型再評価につながる成果もあげた。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)
Journal of Autoimmunity
巻: 100 ページ: 105-113
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Neuromuscular Disorders
巻: 29 ページ: 543-548
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