研究課題/領域番号 |
17K09787
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研究機関 | 長崎総合科学大学 |
研究代表者 |
本村 政勝 長崎総合科学大学, 工学研究科, 教授 (70244093)
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研究分担者 |
白石 裕一 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (40423644)
吉村 俊祐 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70746635)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ランバートン・イートン筋無力症候群 / 傍腫瘍性小脳変性症 / 血液脳関門 |
研究実績の概要 |
Lambert-Eaton筋無力症候群(LEMS)は、稀な自己免疫性・神経筋接合部疾患である。臨床的に、LEMS患者の約10%に小脳失調症状が出現し、LEMSに傍腫瘍性小脳変性症を合併する(LEMS-PCD)と定義される。 そのLEMS-PCD患者での小脳失調症状の発症機序は、「神経筋接合部で筋力低下を引き起こしているP/Q型電位依存性カルシウムチャネル(P/Q型VGCC)抗体が血液脳関門(BBB)を通過して、小脳の分子層に高密度に分布するP/Q型VGCCに作用し(down-regulation)小脳失調を呈する。」という仮説が提唱されている。 今回、我々は、ヒトBBB構成内皮細胞にLEMS-PCD患者とLEMS患者の免疫グロブリンG(IgG)を作用させ、細胞生物学的見地からこの仮説を検証した。 その結果、LEMS-PCD患者IgG(n=4)はBBBを破綻させたが、LEMS単独患者IgG(n=4)では変化が無かった。本研究では、LEMS-PCDの症例を増やし、その結果の再現性を確認することを第一段階とする。そのためには、LEMS患者とPCD-LEMS患者血清をさらに収集することが必要である。そして、それらの検体から得られたIgGで、BBBバリアー機能の指標となるclaudin-5、 occludin蛋白量と電気抵抗値を測定する。それらの結果を統計学的に解析し、有意差を出してその仮説を証明したい。平成30年度は、BBBに障害を与えているIgGの抗原の一つとして、Glucose-regulated protein 78 (GRP78)を同定し、報告した(accepted by Shimizu et al, Brain, 2019)。今後は、症例数を更に増やして、GRP78抗体の臨床的意義を検討して行きたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検体の収集であるが、この2年間で、LEMS単独の血清が約100例、LEMS-PCD患者の血清が10例ほど集まった。当初の目標に達しているので、今後も、目標以上の症例数を集積したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの、LEMS研究により、P/Q型VGCC抗体陽性のPCDで、LEMSを伴わない症例が数例いることが判明した。今後は、LEMS患者、LEMS-PCD患者、及び、P/Q型VGCC抗体陽性PCD without LEMSの3群間でのBBB構成内皮細胞実験を進めて行きたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年目の研究実績計画が予定していたよりもやや遅れ、抗体、試薬の物品費での使用予定予算執行が計画通りにいかなかた。2年目ではこれまでの遅れを取り戻したので、3年目は, 当初の目標を達成したいと考えている。
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