研究課題/領域番号 |
17K09795
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
篠原 もえ子 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任准教授 (20584832)
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研究分担者 |
山田 正仁 金沢大学, 医学系, 教授 (80191336)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳アミロイドアンギオパチー |
研究実績の概要 |
脳アミロイドアンギオパチー(CAA)は脳血管へ主にアミロイドβ蛋白(Aβ)が沈着し、脳血管障害や認知機能障害が生じる疾患だが、CAAの自然歴は不明な点も多い。本研究では大脳あるいは小脳皮質のみに限局する皮質微小出血を有する認知機能正常者をプレクリニカルCAAと定義し、地域在住高齢者におけるプレクリニカルCAAの有病率及び無症候性/症候性の脳血管障害及び認知症の発症リスクと、プレクリニカルCAAに関する血液バイオマーカーを明らかにする。 2020年度は大脳あるいは小脳皮質のみに限局する微小出血(CAA型微小出血)の有無に関連した局所灰白質体積の違いを解析した。MRIにて粗大な脳梗塞/脳出血がない非認知症高齢者(n = 1025)のうち、プレクリニカルCAAは30名だった。両側傍海馬容積/両側頭蓋内容積比はプレクリニカルCAA群の中央値0.35%、微小出血なし群0.38%と有意にプレクリニカルCAA群で傍海馬容積の萎縮をみとめた(P = 0.016)。また、プレクリニカルCAAに関する血液バイオマーカーを検索したところ、グリコアルブミンはプレクリニカルCAA群の中央値15.7%、微小出血なし群14.9%であり、有意にプレクリニカルCAA群で高値だった(P = 0.036)。 2021年度はプレクリニカルCAAの追跡調査を実施し、無症候性/症候性の脳血管障害及び認知症の発症リスクとの関連を明らかにする。前向き地域コホート研究で保存している血液検体を用いてプレクリニカルCAA群、微小出血なし群の血液検体を用いて血液バイオマーカーを開発する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来は、皮質微小出血とアミロイドPETの両方が陽性の認知機能正常者をプレクリニカルCAA群と定義し、皮質微小出血をみとめる方にアミロイドPET検査を実施していたが、2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で遠方の施設でのアミロイドPET検査を受ける地域住民がいなかった。2021年度も新型コロナウイルス感染拡大の影響が続くと懸念されることから今後は住民が検査を受けやすい近くの施設で頭部MRIの追跡やアミロイドPET検査を実施できるよう工夫をして、プレクリニカルCAA群の同定、無症候性/症候性脳血管障害発症リスクの検討を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
2016~2018年の頭部MRI検査で皮質のみに限局する微小出血を認めた認知機能健常者について2021年度に頭部MRIの追跡調査をおこない、無症候性/症候性脳血管障害発症リスクを検討する。前向き地域コホート研究で保存して血液検体を用いてプレクリニカルCAA群、微小出血なし群の血液検体を用いて血液バイオマーカーを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
アミロイドPETをこれまで少数例でしか実施できていない。 2021年度に行うアミロイドPET/頭部MRIの費用及びPET/MRI検査施設までの送迎費用として使用予定である。
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