研究課題
本研究の2年度として、本研究において「振戦脳」とみなしている良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(benign adult famifial myoclonus epilepsy: BAFME)患者において、研究の基盤となる患者の診断の確定を引き続き継続した。また診断時の所見および、様々な臨床情報(症状およびそれらのgrading、体性感覚誘発電位など種々の検査所見ななど)に関するデータベースの構築、入力、拡充を継続した。また、実際に、脳波・筋電図の同時記録なども行った。これらの融合的解析の結果、preliminaryではあるが、以下の知見がえられた。1:BAFMEにおいては、睡眠時にはてんかん性放電が減少、すなわちてんかん性の皮質過敏性が睡眠時に減弱することを明らかにした。これらの知見は進行性ミオクローヌスてんかんにおける所見と共通し、BAFMEの病態の一部に進行性の部分があることが示唆された。2:抗てんかん薬(グルタミン酸受容体拮抗薬)により、BAFMEにおいて体性感覚誘発電位の振幅減少、潜時延長を認めた。これらの変化が不随意運動の症状改善とも関連することを明らかにした。3:BAFMEの遺伝子異常がホモ接合型を示す症例において、小脳変性症に類似した進行性を示すことも明らかにした。これは、BAFMEのホモ接合例においては、そのlate stageにおいて変性疾患様の病態を示すことを示唆している。4:皮質筋コヒーレンス解析により、BAFMEの皮質振戦の形成において一次運動野だけではなく、小脳も関与していることを示唆する知見もえられてきている。
2: おおむね順調に進展している
研究2年度として目標としていた、データ取得および解析も進んできているため。また一部には学会発表および論文化できるような知見も得られて来ているため。
今後も振戦脳(BAFME)BAFMEにおける、各種の計測、解析を行う、皮質振戦のメカニズムを明らかにし、論文化を行う予定である。
物品費、人件費、謝金などが当初予定ほどかからなかったため、次年度使用額が生じた。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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