研究課題
H29年度の研究は、計画していた以下の内容を行った。1.共通データベースの作成:急性期脳梗塞症例の必要な画像・診療情報の調査項目の設定および予後調査の手順を確立した。現在、既に匿名化した情報の登録を開始している。2.予定登録症例数の設定:CT灌流画像を実臨床にすぐに応用する予定であったが、解析ソフトの導入にいくつかの問題が生じ、解決をおこなった。MRI基準で行ってきた診療プロトコールの改訂が必要であり、改訂に当たり、倫理委員会の審査を受け、承認された。院内のプロトコル改訂のための関係部署との話し合いと調整を継続している。CT灌流画像の解析ソフトウェアをオンラインで院内画像配信システムと連結させるために、関係する院内各部署および取り扱い業者との連絡調整と綿密な会議を繰り返し、画像解析のためのワークステーション設置の許可を受けた。国際共同研究についても現在学内で審査中である。H30年度から症例登録が可能となった。3.虚血ペナンブラと時間の関連についての調査:上記理由からまず、従来のMRIに基づいたデータにより、虚血ペナンブラと時間の関連を調査した。発症早期にMRIを行い、血管再開通が得られなかった症例について、48時間以内のMRIと比較し、虚血ペナンブラの存在を推定した。時間との関連を調査すると、6時間以上経過している症例にも虚血ペナンブラの存在が示唆される結果となった。本調査結果は2018年3月に開催されたSTROKE2018で発表した。
3: やや遅れている
従来のMRI中心の診療プロトコルからCT灌流画像中心の診療プロトコルへ変更する上で、CT灌流画像の画像解析ワークステーション設置、解析ソフトウェア導入、また、院内画像配信システムと連結するために、各部署との調整および審査を繰り返す必要が生じたため。
症例登録を開始し、解析症例数の目標を200 例とし、以下の解析をおこなう。I. 虚血ペナンブラと時間経過の関連:共通データベースをもちいて、脳梗塞発症からの時間経過と虚血ペナンブラの推移について、単回帰分析をおこなう。II. 虚血ペナンブラと側副血行の発達の関連:4DCTA による側副血行の発達を計測し、造影剤ピーク濃度、造影剤ピーク遅延時間、時間-造影剤濃度曲線下面積を求め、虚血ペナンブラの体積との関連について、単回帰分析および重回帰分析をおこなう。V. 国際共同研究グループへの参加:将来的に私たちの研究グループで得られた結果の妥当性を調べるために、豪州、カナダ、中国との国際共同研究International Stroke Perfusion Registry(INSPIRE)に参加するための準備を継続する。
画像解析ワークステーション、ソフトウェアの導入・購入がH29年度内に実施できなかったため、次年度使用額が生じた。H30年度分として機器購入および解析に伴う人件費・謝金として使用する計画である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Brain
巻: 19 ページ: aww338~aww338
10.1093/brain/aww338
J Neurol Disord Stroke
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