筋萎縮性側索硬化症のイオンチャネル障害と小分子恒常性異常に関する生理学的研究

2017 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 17K09811
• 研究機関: 順天堂大学
• 研究代表者: 金井 数明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10375751)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2020-03-31
• キーワード: 筋萎縮性側索硬化症 / 軸索興奮特性 / 後天性チャネロパチー / 神経過剰興奮性

研究実績の概要

少数例のALS患者の血液検体を用いて解析を行い、運動神経軸索興奮特性の指標のうち、予後と関連すると報告されているもの（Strength-Duration Time Constantおよびrecovery cycle中のsupernormality）と有意な相関を示す小分子、及びそれらの指標の高値群と低値群との間に有意な差を示すものを複数種類同定した。その中にはこれまでの既報でALS患者群で優位に変化（上昇あるいは減少）を示すことが報告されているものや、いくつも提唱されているALSの病態仮説のうちのあるものの中で重要な役割を果たしているものなどが複数含まれていた。運動神経軸索興奮特性検査が何故予後と関係するのかその機序は不明であるが、その分子病態的バックグラウンド解明につながり得る結果であると考えられた。また引き続き結果の検証のための検証群を準備中である。具体的には新規に診断されたALS患者様から同意を得られた方から血液検体を継続的に収集している。検体収集は現在のところ順調に進んでいる。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記の様に少数例でのパイロットスタディーで有望な結果が得られている。またその検証群の検体を準備中であるが、その検体収集も順調である。

今後の研究の推進方策

少数例のパイロットスタディーで得られた結果が真であるかを検証するための検証群を準備中である。具体的には新規に診断されたALS患者様から同意を得られた方から血液検体を継続的に収集していく予定である。検体収集は現在のところ順調に進んでいる。

次年度使用額が生じた理由

他の研究費を使用することにより研究費を節約できた。次年度以降に検証群の検体を用いて小分子解析を行う予定であり、それに充当する予定である。

研究成果

• [雑誌論文] COQ2 variants in Parkinson's disease and multiple system atrophy. (2018)
  • 著者名/発表者名: Mikasa M, Kanai K, Li Y, Yoshino H, Mogushi K, Hayashida A, Ikeda A, Kawajiri S, Okuma Y, Kashihara K, Sato T, Kondo H, Funayama M, Nishioka K, Hattori N.
  • 雑誌名: J Neural Transm 巻: 125 ページ: 937-944.
  • DOI: 10.1007/s00702-018-1885-1.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Isaacs syndrome: A slow potassium channelopathy caused by autoantibodies? (2018)
  • 著者名/発表者名: Nakazato T, Tsuji Y, Kanai K, Noto YI, Hoshino Y, Yamashiro K, Yokoyama K, Nishioka K, Shimo Y, Watanabe O, Mizuno T, Hattori N.
  • 雑誌名: Clin Neurophysiol. 巻: 129 ページ: 956-958.
  • DOI: 10.1016/j.clinph.2018.01.069.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Parkinsonism in a patient with valosin-containing protein gene mutation showing: a case report. (2017)
  • 著者名/発表者名: Fujimaki M, Kanai K, Funabe S, Takanashi M, Yokoyama K, Li Y, Hattori N.
  • 雑誌名: J Neurol. 巻: 264 ページ: 1284-1286.
  • DOI: 10.1007/s00415-017-8467-2.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Paraneoplastic neuromyotonia due to lung carcinoma and invisible muscle cramps evaluated using ultrasonography. (2017)
  • 著者名/発表者名: Nishioka K, Kanai K, Hattori N.
  • 雑誌名: J Neurooncol. 巻: 134 ページ: 243-244
  • DOI: 10.1007/s11060-017-2501-1.
  • 査読あり
• [学会発表] Increased motor axonal persistent sodium currents is associated with rapid regional spreading in amyotrophic lateral sclerosis (2017)
  • 著者名/発表者名: Kazuaki Kanai, Takanori Yokota, Kazumoto Shibuya, Tadashi Kanouchi, Tomoko Nakazato, Yuta Iwai, Sonoko Misawa, Genko Oyama, Yasushi Shimo, Michitaka Mikasa, Motoki Fujimaki, Yasuhiro Kagamihara, Toshio Shimizu, Nobutaka Hattori, Satoshi Kuwabra
  • 学会等名: The XXIII World Congress of Neurology
  • 国際学会
• [学会発表] Greater axonal persistent sodium currents correlate with more rapid disease progression in patients with amyotrophic lateral sclerosis (2017)
  • 著者名/発表者名: Tomoko Nakazato, Kazuaki Kanai, Genkyo Oyama, Yasushi Shimo, Nobutaka Hattori.
  • 学会等名: The XXIII World Congress of Neurology
  • 国際学会
• [学会発表] Increased Barrett-Barrett conductance in motor axons of patients with anti-GAD antibody (2017)
  • 著者名/発表者名: T Nakazato, K Kanai, Y Shimo, H Bostock, N Hattori
  • 学会等名: The 16th European Congress of Clinical Neurophysiology
  • 国際学会
• [学会発表] 抗MAG抗体陽性ニューロパチーの運動神経軸索興奮特性 (2017)
  • 著者名/発表者名: 金井 数明、中里 朋子、下 泰司、大山 彦光、服部信孝
  • 学会等名: 第47回日本臨床神経生理学会
• [学会発表] 抗GAD抗体は運動神経軸索のBarrett-Barrett conductanceを増大させる (2017)
  • 著者名/発表者名: 中里 朋子、金井 数明、西岡 健弥、大山 彦光、下 泰司、服部 信孝
  • 学会等名: 第47回日本臨床神経生理学会