研究課題
【研究目的】 本研究は、急性期脳梗塞患者を対象として自家血を体外で培養し血管再生・抗炎症・免疫寛容作用を獲得した「再生アソシエイト細胞(RACs)静注治療」の臨床応用の実現性を検証し、第1相臨床研究を開始することである。【方法】脳梗塞発症7日以内に採血した静脈血を7日間培養し、発症14日目にRACsを自家血移植する。移植後/90日後の臨床症状、MRI、SPECT、一般採血、mRSへの影響を評価する。上記の臨床研究実施に向けて東海大学あるいはStemMed社提携の細胞培養センター(CPC)を利用してRACsを製造する。【結果】上記の実践に向けて準備を進めたが、1)前臨床試験の動物実験およびその解析に時間を要した。2)臨床研究申請のための細胞培養手順書の作製中であるが、培養の安定化、細胞品質基準の策定などに時間を要した。3)東海大学のCPC利用を検討しているが、他のCPC利用予定との事前調整に時間を要した。以上の理由より、R1年度は第1相臨床研究の実現には至らなかった。一方で、並行して進めていた「Moyamoya病患者の血管内皮前駆細胞(EPC)測定とRACsによる血管新生治療研究」において以下の成果を得た。Moyamoya病においてEPC数減少の報告はあるが、その分化の度合いは解明されていない。我々は健常者及びMoyamoya病患者における末梢血EPC分化過程のプロファイリングを検討した。その結果、1)Moyamoya病患者では健常人と比べ成熟EPCコロニーが減少していた、2)Moyamoya病患者では健常人と比べ、培養細胞分泌のIL-10レベルが減少していた、3)Moyamoya病患者の末梢血単核球細胞群にヒトrecombinant IL-10を負荷するとEPCコロニー分化が改善した。以上よりMoyamoya病では、IL-10産生低下がEPC分化を妨げていると推察された。
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Sci Rep.
巻: 10 ページ: :2396
10.1038/s41598-019-53114-4