本研究は異なるタウPET診断薬、[C-11]PBB3と[F-18]THK5351の集積特性や分布の違いを検討し、タウイメージングの診断的意義を検証することを目的として実施した。令和元年度末まで[F-18]THK5351-PETを122件、[C-11]PBB3-PETを125件実施し画像を集積した。 [C-11]PBB3と[F-18]THK5351をhead-to-headで比較できる症例は17例である。内訳は認知機能正常者6例、アルツハイマー病(AD)3例、進行性核上性麻痺(PSP)5例、前頭側頭葉変性症:進行性非流暢性失語症(FTLD:PNFA)1例、嗜銀顆粒性疾患(AGD)1例、筋萎縮性側索硬化症(ALS)1例、その他1例である。[C-11]PBB3実施例の内8例、[F-18]THK5351実施例の内5例で剖検が得られ、うち3例は[C-11]PBB3と[F-18]THK5351両者を実施しており、今後詳細な検討を進める。[F-18]THK5351はmonoamineoxidaze-B(MAO-B)への結合性があり、タウPET診断薬としての特異性はないが、gliosisを感度良く描出できることがわかった。脳血管障害後のWaller変性や神経膠芽腫、多発性硬化症病巣への明瞭な集積があることを明らかにし、報告した。脳変性疾患において萎縮や血流代謝低下の陰性所見によって従来表現されていた病巣局在を陽性所見(ホットスポット)として表現できるユニークな画像診断法(グリアイメージング)として有用性、発展性があると考えられる。一方、 [C-11]PBB3はアミロイドへのクロス集積が疑われが、アミロイド陰性例(PSPなど4Rタウオパチー等)におけるタウ病理の検出には一定の有用性があると考えられた。糖尿病性関連のアミロイド陰性認知症の病態評価を行った。
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