研究課題/領域番号 |
17K09814
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研究機関 | 滋賀県立総合病院(研究所) |
研究代表者 |
山内 浩 滋賀県立総合病院(研究所), 画像研究部門, 副所長 (40360812)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 分子イメージング / ポジトロンCT / アミロイド / 脳血管障害 |
研究実績の概要 |
アミロイド蓄積と脳循環障害の関係について、横断的研究を行い、そのデータを解析し、以下のようにまとめた。 【目的】げっ歯類では、頸動脈閉塞による脳循環障害はアミロイド蓄積を増加させる。本研究では、アテローム硬化性脳主幹動脈閉塞性疾患患者において、貧困灌流(酸素摂取率増加)とアミロイド蓄積の関係を検討した。 【方法】片側性に、内頸あるいは中大脳動脈に狭窄または閉塞を有し、大脳皮質に梗塞のない患者13例を対象とし、PETと18F-FPYBF-2を用いて、アミロイド蓄積量を求めた。dynamic dataを用い、Logan graphical analysisにより,distribution volume ratio(DVR) を計算した.DVR大脳皮質半球平均値と15O-Gasを用いて求めた脳血流量、酸素代謝率、酸素摂取率との関係を検討した。 【結果】健常側半球と比べて、病変側半球の血流量と酸素代謝率は低下し、酸素摂取率は増加していたが、DVRは半球間で差がなかった。DVRの病側/健側比は3例で増加しており、酸素摂取率の病側/健側比は4例で増加していた。DVRの病側/健側比増加の頻度は、酸素摂取率の病側/健側比増加のある群 (3/4) で、ない群(0/9)よりも有意に高かった(P<0.02)。病変側半球のDVR値は、重回帰分析により健側半球のDVR値を調整すると、酸素摂取率値と有意に正相関していた(P<0.05)が、酸素摂取率の寄与度は小さかった(5%)。酸素摂取率の病側/健側比増加4例中、DVR値で評価したアミロイド陽性基準を満たしたのは1例のみであった。 【結論】貧困灌流は、軽度ではあるが、アミロイド蓄積増加に寄与している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
横断的研究のデータを論文化することができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、追加症例で横断的研究の結果を確認している、今後は、縦断的研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
脳血管障害患者を対象とした検討が遅れ、本年度より開始した。研究は徐々に進捗したが、えられつつあったデータが微妙であったため、定量法やデータ解析法の検討に時間をかけた。その結果、本年度は、まず少数例のデータで横断解析を行うことになった。そのため、解析用パソコンおよびソフトウェアの購入は最終年度に先延ばしした。今後は当初の計画通りに症例を増やし、予算も執行する予定である。
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