NFIAによる褐色脂肪分化と糖・脂質・エネルギー代謝の制御機構の解明

2017 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 17K09818
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 脇 裕典 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (00466765)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2020-03-31
• キーワード: 褐色脂肪細胞 / ノックアウト / トランスジェニック

研究実績の概要

我々は、マウスの褐色脂肪と白色脂肪のゲノム上の転写制御領域であるオープンクロマチン領域をFAIRE-seqで網羅的に解析し、褐色脂肪特異的な転写制御領域に、転写因子NFIAの結合モチーフが濃縮していることを見出し、細胞への遺伝子導入やノックダウン、ChIP-seqやRNA-seqなどのゲノムワイドなエピゲノム・トランスクリプトーム解析、全身NFIA欠損マウスやヒトの褐色脂肪細胞の解析から、NFIAが褐色脂肪の遺伝子プログラムを制御する重要な因子の一つであることを示した。NFIA欠損マウスは生後数日で死亡するため、成体や全身の全身の糖・脂質・エネルギー代謝におけるNFIAの役割を検討するために、組織特異的コンディショナルノックアウトマウスやトランスジェニックマウスなどの遺伝子改変動物の解析が必要である。これらの遺伝子改変動物の作成および掛け合わせを順次進行させ当初の予定通り目的の個体を得た。組織特異的コンディショナルノックアウトマウスについては、組織特異的Cre発現マウスとFloxマウスとの掛けあわせを進行させ、トランスジェニックマウスについてはコンストラクト作成とインジェクション、個体化を順次進めた。またNFIA複合体解析により得られたNFIAの作用を担う候補因子の役割を検討した。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画におおむね基づいて研究が進行し、進捗が得られた。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画に基づいて、平成３０年度も引き続き研究を進める。

研究成果

• [雑誌論文] 褐色脂肪組織と肥満症 (2018)
  • 著者名/発表者名: 脇 裕典
  • 雑誌名: Medical Practice 巻: 35(2) ページ: 269-272
• [雑誌論文] NFIA co-localizes with PPARγ and transcriptionally controls the brown fat gene program. (2017)
  • 著者名/発表者名: Hiraike Y, Waki H, Yu J, Nakamura M, Miyake K, Nagano G, Nakaki R, Suzuki K, Kobayashi H, Yamamoto S, Sun W, Aoyama T, Hirota Y, Ohno H, Oki K, Yoneda M, White AP, Tseng YH, Cypess AM, Larsen TJ, Jespersen NZ, Scheele C, Tsutsumi S, Aburatani H, Yamauchi T, Kadowaki T
  • 雑誌名: Nature cell biology 巻: 19(9) ページ: 1081-1092
  • DOI: 10.1038/ncb3590
  • 査読あり / 国際共著
• [学会発表] NFIA co-localizes with PPARγ and transcriptionally controls the brown fat gene program. (2018)
  • 著者名/発表者名: Yuta Hiraike, Hironori Waki, Shuichi Tsutsumi, Hiroyuki Aburatani, Toshimasa Yamauchi1 and Takashi Kadowaki
  • 学会等名: Keystone Symposia, Bioenergetics and Metabolic Disease (J4) (Keystone, USA, 2018.1.21-25)
  • 国際学会
• [学会発表] 臨床医が知っておくべき糖尿病の基礎～糖尿病とエピゲノム (2018)
  • 著者名/発表者名: 脇裕典
  • 学会等名: 第52回糖尿病学の進歩（2018年3月 福岡）
  • 招待講演
• [学会発表] Co-Localization of NFIA and PPARγ Controls the Brown Fat Gene Program (2017)
  • 著者名/発表者名: Hironori Waki
  • 学会等名: Translational and Therapeutic Perspectives of Brown Adipose (Copenhagen, Denmark)
  • 国際学会
• [学会発表] Controls the Brown Fat Gene Program by Co-Localizing with PPARgamma at Cell-Type-Specific Enhancers (2017)
  • 著者名/発表者名: Yuta Hiraike, Hironori Waki, Shuichi Tsutsumi, Hiroyuki Aburatani, Toshimasa Yamauchi, Takashi Kadowaki
  • 学会等名: 3rd Korea-Japan Diabetes Forum in conjunction with the30th Spring Congress of Korean Diabetes Association (Busan, Korea, 2017.5)
  • 国際学会
• [学会発表] NFIA Controls the Brown Fat Gene Program by Co-Localizing with PPARgamma at Cell Type-Specific Enhancers (2017)
  • 著者名/発表者名: Yuta Hiraike, Hironori Waki, Shuichi Tsutsumi, Hiroyuki Aburatani, Toshimasa Yamauchi, Takashi Kadowaki
  • 学会等名: 77th Scientific Sessions of the American Diabetes Association（San Diego, USA, 2017.6. 9-13)
  • 国際学会
• [学会発表] NFIA Controls the Brown Fat Gene Program by Co-Localizing with PPARgamma at Cell Type-Specific Enhancers (2017)
  • 著者名/発表者名: Yuta Hiraike, Hironori Waki, Shuichi Tsutsumi, Hiroyuki Aburatani, Toshimasa Yamauchi, Takashi Kadowaki:
  • 学会等名: The 9th Asia-Oceania Conference on Obesity（Adelaide, Australia, 2017.10）
  • 国際学会
• [学会発表] NFIAは褐色脂肪遺伝子エンハンサーにおいてPPARγと共局在することで褐色脂肪の遺伝子プログラムを制御する (2017)
  • 著者名/発表者名: 平池勇雄、脇裕典、于静、中村正裕、三宅加奈、鈴木顕、仲木竜、小林博文、和田孝人、孫威、青山倫久、廣田雄輔、長野学、大野晴也、沖健司、米田真康、堤修一、油谷浩幸、山内敏正、門脇孝
  • 学会等名: 第60回日本糖尿病学会年次学術集会（2017年5月 名古屋）
• [学会発表] 転写因子NFIAの褐色脂肪分化と筋細胞分化の制御作用ドメインの解析 (2017)
  • 著者名/発表者名: 三宅加奈、脇裕典、平池勇雄、于静、孫威、青山倫久、山内敏正、門脇孝
  • 学会等名: 第60回日本糖尿病学会年次学術集会（2017年5月 名古屋）
• [学会発表] 褐色脂肪細胞におけるエピゲノム制御の分子機構 (2017)
  • 著者名/発表者名: 脇裕典
  • 学会等名: 第67回日本体質医学会総会（2017年9月松山）
  • 招待講演
• [学会発表] NFIAは褐色脂肪遺伝子エンハンサーでPPARγと共局在し褐色脂肪細胞の遺伝子プログラムを制御する (2017)
  • 著者名/発表者名: 平池勇雄、脇裕典、于静、中村正裕、三宅加奈、仲木竜、長野学、大野晴也、沖健司、米田真康、堤修一、油谷浩幸、山内敏正、門脇孝
  • 学会等名: 第38回日本肥満学会（2017年10月 大阪）
• [学会発表] 転写因子NFIAの褐色脂肪分化と筋細胞分化の制御作用ドメインの解析 (2017)
  • 著者名/発表者名: 三宅加奈、脇裕典、平池勇雄、于静、青山倫久、山内敏正、門脇孝
  • 学会等名: 第38回日本肥満学会（2017年10月 大阪）
• [学会発表] シンポジウム：褐色脂肪細胞におけるエピゲノム制御の分子機構 (2017)
  • 著者名/発表者名: 脇裕典
  • 学会等名: 第38回日本肥満学会（2017年10月 大阪）
  • 招待講演