研究課題
白色脂肪組織の褐色化を標的とした、エネルギー消費促進作用をする薬剤同定を目標に大規模な化合物スクリーニングを行い、複数の化合物に関して同定を行うなど、進捗がみられた。また、実験系の安定化・ハイスループット化のための、新たなレポーターアッセイの細胞株の樹立を行っている。さらに、エネルギー消費促進作用の標的である褐色脂肪組織(BAT)について、新規の分化の標的であるテトラヒドロビオプテリン(BH4)が、BATの分化に与える影響について明らかにした。BH4の産生能が低下したhph-1マウス及び対照マウスを用い、新生児期のBATを比較した所、hph-1マウスのBAT重量は小さく、熱産生が低下していた。hph-1由来前駆脂肪細胞では、BH4投与により分化能が回復し、その効果は一酸化窒素依存性であった。さらに、妊娠hph-1マウスへのBH4を投与した検討では、BH4非補充群に比べ、新生児のBAT機能が改善し、成長後の高脂肪食下での耐糖能の悪化や体重増加が抑制された。以上より、BH4は胎児期のBATの分化に関与することが示された。BH4は胎児期のBATの分化に関与し、母体への補充療法は、子の糖・エネルギー代謝に有益な持続的効果をもたらす可能性が示された。胎児期の種々の母体の環境要因は、将来の生活習慣病への発症と関連するとされ、BH4投与によるBATの制御は肥満症及び糖尿病の発症を予防する、先制医療の標的となる可能性がある。
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PLOS ONE
巻: 15 ページ: e0229998
10.1371/journal.pone.0229998
Journal of Diabetes Investigation
巻: 10 ページ: 1408~1410
10.1111/jdi.13150