肥満者ではエネルギー消費の減弱により、「より肥満しやすい状況」に陥るという悪循環を発症することが知られていたが、この分子機構は十分に明らかではなかった。今回見出した「肥満によって生じる骨格筋のアドレナリン抵抗性」という現象は、このような「肥満における悪循環」の形成メカニズムの一旦を担う可能性がある。本研究により、骨格筋のアドレナリンシグナルが全身の代謝制御に及ぼす影響とともに、骨格筋のアドレナリン抵抗性の病理的意義と発症機構が明らかとなれば、個体の代謝制御に関するより深い理解が得られるだけでなく、肥満を始めとした種々の代謝疾患に対する新規な治療法の開発に繋がる可能性もあり、その意義は大きい。
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