研究課題/領域番号 |
17K09834
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
安西 慶三 佐賀大学, 医学部, 教授 (60258556)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / TYK2プロモーター / 遺伝子多型 / 2型糖尿病 / ウイルス糖尿病 / インスリン分泌能 |
研究実績の概要 |
1型糖尿病は様々な発症機序が想定されており、Tyrosine Kinase2(TYK2)遺伝子プロモーター多型とウイルス感染による1型糖尿病発症との関連を我々は報告してきた。さらに非肥満の2型糖尿病においてもTYK2PV変異型が高率であることを見出した。TYK2PV変異型の2型糖尿病では野生型の2型糖尿病と比較し、膵β細胞の障害に伴うインスリン分泌能が早期に低下すると想定される。本研究は主にin vivoモデルの開発と臨床研究部分に分かれるが、本年度は主に臨床研究を中心に遂行した。インスリン製剤を使用していない2型糖尿病患者80名を対象にTYK2PVとインスリン分泌能及び非アルコール性脂肪性肝炎(NAFLD)病態との関連性を検討した。血液検体から患者DNAを採取し、TYK2PVをダイレクトシーケンス法で解析した。TYK2PV野生型と変異型で、空腹時インスリンやHOMA-β等のインスリン分泌能を含む臨床背景を比較検討した。またNAFLDの肝硬度やFIB4インデックスとの関連を検討した。2型糖尿病患者80名のうち6名(7.5%)がTYK2PV変異型を有していた。野生型(74名)と変異型(6名)では年齢、罹病期間で有意差を認めなかった。TYK2PV変異型はBMIが低く、HbA1cは高い傾向を示した。またインスリン分泌能について、IRI およびHOMA-βは野生型と比較して変異型でそれぞれ低値であった。またNAFLDにおけるFIB4インデックスとHOMA-βは負の相関を呈し、TYK2変異型はFIB4インデックスが高い傾向を認めた。以上の結果から非肥満2型糖尿病の病態にTYK2PV変異が関連している可能性が示唆された。変異型ではインスリン分泌能が低い傾向にあり、早期からのβ細胞保護やインスリン療法の導入タイミングなど通常の2型糖尿病とは異なる治療戦略が求められる可能性がある。更に同病型はNAFLDの肝線維化進展に関与している可能性が示唆された。今後多施設共同研究で、より多数例での検討を予定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画は当初の計画通り順調に進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
TYK2 KOマウスを用いてin vivoモデルの作成を開始する。マウス繁殖に要する時間を考慮し十分に余裕を持ったタイムフレームでの実験計画とする。
|