研究課題/領域番号 |
17K09837
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
後藤 理英子 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤教員 (80748020)
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研究分担者 |
近藤 龍也 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (70398204)
荒木 栄一 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (10253733)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 鉱質コルチコイド / 膵α細胞 / 活性型GLP-1 / IL-6 / エプレレノン |
研究実績の概要 |
本研究はアルドステロン阻害薬の膵保護作用のメカニズムを解明することを目的としている。 平成29年度は膵α 細胞にエプレレノンを投与しIL-6 の発現、GLP-1 の分泌を確認するために、あらかじめステロイドフリーFBS を添加した培養液でαTC 細胞 (α 細胞株) を24 時間培養、コントロール群/アルドステロン群/アルドステロン+エプレレノン群に分けてさらに24 時間培養した。アルドステロン群ではコントロール群に比して有意に培養上清のIL-6濃度(0.65倍)および活性型GLP-1濃度(0.83倍)が低下(蛋白量で調整)し、アルドステロン+エプレレノン群ではアルドステロン群に比し有意に培養上清のIL-6濃度(1.87倍)および活性型GLP-1濃度(1.45倍)が上昇(蛋白量で調整)した。 また、原発性アルドステロン症と診断され同意が得られた患者について耐糖能障害について検討するために治療(エプレレノン内服、片側副腎腺腫摘出術)前後1~6 か月で75g 経口糖負荷試験 (すでに糖尿病を発症している人は除く。)を施行し、負荷前、負荷後60 分で活性型GLP-1濃度を測定し、解析した。75gOGTTは18例で施行し、治療前は6例が正常型、9例が境界型、3例が糖尿病型であったが、治療後10例が正常型、6例が境界型、2例が糖尿病型と、正常型の割合が増加した。75gOGTTの対象とならなかった(既に糖尿病と診断されていた)10例では治療後HbA1cが有意に改善した(6.49%→6.06%)。活性型GLP-1濃度は6例で測定し、負荷前は1.78→2.54 pmol/l、負荷後60分は3.01→5.78 pmol/lと負荷前後ともに有意に上昇した。 これらによりエプレレノンは膵α細胞からのIL-6および活性型GLP-1の分泌を促進し、耐糖能を改善する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に推進している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果が鉱質コルチコイド受容体を介することを証明し、どのようなシグナルが関与するか検討するため、in vivo および in vitro で膵島細胞のMR をノックダウンおよび過剰発現し、1).およびβ 細胞における慢性炎症やインスリン分泌能について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
1,348円の残金は次年度物品費に使用する予定。
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